俺の目覚ましが学校のチャイムと化したのはいつだったか…。
先生に名前を呼ばれても、先生に叩かれても、先生に罵られても起きないのが今の俺。
いやもはや、麻実たんにやられるのであれば、ご褒美なまである。
麻実たんに怒られて、麻実たんに罵られて、麻実たんに名前を呼んでもらう。
委員長寿君なら鼻血ブーだろうな。
いや、俺もか…。
そんなどうでもいい事を考えながら、俺は重たい身体を机から起こした…。
俺の目覚ましが学校のチャイムと化したのはいつだったか…。
先生に名前を呼ばれても、先生に叩かれても、先生に罵られても起きないのが今の俺。
いやもはや、麻実たんにやられるのであれば、ご褒美なまである。
麻実たんに怒られて、麻実たんに罵られて、麻実たんに名前を呼んでもらう。
委員長寿君なら鼻血ブーだろうな。
いや、俺もか…。
そんなどうでもいい事を考えながら、俺は重たい身体を机から起こした…。
ふぁ~、よく寝た…
信一くん、一緒に帰りましょう!!
えっ…
気づけば、教室には俺たち二人以外誰も居なかった。
あれっ…俺が目覚めたチャイムって、放課後を告げるやつ? みんな帰るの早すぎない? 意識高くない?
そんな不自然な教室に違和感をかなり覚えつつ、俺は桜と共に教室を後にした。
校外もやたら静かだった。
まるでこの世界は俺と桜しか存在しないのではないかと思えるレベル。
……早くもこの時点で、俺は大方この状況を察してしまった。
俺は完全に空気読めない系残念主人公だ。
物語の都合とか一切無視しちゃってる。
まあ、それはぼちぼち分かるからいいか。
信一くん、今日はお家に寄って行っても…いいですか?
お、おう…
桜からそんな言葉を聞くなんて…。
積極的な発言に少し後退りつつ、二人で家に向かった。
ただいま~…
うぐっ…
突如聞こえた銃声。
そして腹部への痛み…
「「「誕生日おめでとう!!」」」
し、死にたくな……
って、えっなんだって?
感じなかった。
腹部への痛みなんて一切感じなかったのだ。
おめでとうございます、信一くん
お家の扉を開けたとたんに銃声が玄関に響いた!
俺死んだわとか思ったら、目の前に現れるクラスメイト達…。
なぜ、みんな俺の家にいるんだ!?
延彦をはじめとして、花方君、委員長君、いつもより爽やかな顔をした豪快、さらには麻美たんまで!!
もう理解が追いつかねえ!!
お兄ちゃん、お帰り!! ささ、みんな待ってるから早く上がって
お、おう…
思考が追いつかないまま、美智留に腕を引っ張られてリビングへと連れていかれた。
これは…!
背景はいつもと何も変わらないが、俺の視野に写る光景は完璧にパーティーの準備が施された部屋だった。
その部屋の真ん中に置かれた机には美味しそうな食べ物…全部俺の好物!!
美智留…これって…!
うん、兄さんの好物を作ってみたんだけど…
どうかな?
ひゃっほーーー!!
ありがとう美智留!!
ダメなわけがないだろ!!
美智留の作る物ならオールカモン!!
よしゃ!! 今日は食べるぞ!!
とても賑やかな宴が幕を開けた。
ただひとつ…いつも近くにいるはずの何かが足りない気がした。
なんだろう、このモヤモヤ感。
人はテンションがおかしくなると、なにもかもが楽しく感じるものだ。
食べ物を食べてる時も、ローソクの火を消す時も、ケーキを食べる時も、いつもは話さない豪快と話す時も、俺は全てが楽しく思えた。
正直、豪快とどんな事を話したのかは一切覚えてない。
とにかく、楽しかったのだ。
信一くん…ちょっといいですか?
おう、どうした?
…!!
桜に腕をつかまれ、リビングの外へと引っ張られた。
えっ…!?
いや、二階に上った。
からの俺の部屋に入った。
締めにベッドにドーンと倒された。
はあああああああああああああああ!?
信一くん、私もう我慢できないです!!
そう言って、ベッドに寝てる俺にまたがって動きを封じ込まれる。
やばいよ、やばいって!!
お、落ち着け桜!! いつものお前ならこんな事はあり得ないぞ!?
いいんです、いつもの私じゃなくて
いやぁぁぁぁ!! 犯されるぅぅぅぅ!!
信一くん、頂きまーす
くっ…、もうダメだ。
ああ、さらば童貞。楽しかったぜ。
こんにちはやりチンライフ。
うん? この響き悪くないぞ。
ちょっとまったあああああ!!
突如聞こえた声。
まさかその声は…!?
私、参上!!
実さーん!! 助けてー!
何かが足りない。俺はずっとそんな気持ちがどこかあった。
……、一時的に忘れていた事はここでは内緒。
だけど、その謎がやっと解けた。
実がいなかったじゃん!!
なんで、私だけ信一の誕生日会呼ばれてないのよー!!
はぶかれ怒りに怒った実は桜を倒すべく、ベッドまで来ると…。
桜も対抗しようと立ち上がる。
よし、今のうちに…!!
グへッ!!
俺のお腹にエルボーをかましてきやがった。
信一はやっぱり、私より桜の方が…
いやいや、俺も帰って来てしった事だから! サプライズ誕生日会だから!
信一くんは私のもの…
そんな笑った顔で怖い事言わないでくれるかな?
ひどいよ、信一!!
お前らの反応の方が酷いからな!!
…さようなら、信一くん
…はあ?
ばいばい、信一
はあ!?
どこから取り出したのか、二人はいつの間にか刃物を持ち、俺の腹部にぶっ刺した。
うそ…だろ…
徐々に薄れていく意識。
悲しみの、向こうへと、超えて行けるなら…。
そんな歌詞が聞こえて来そうだな…。
はぁっ!?
気づくとそこは夕日が差し込む教室だった。
それはそうだな。あんなにぶっ飛んだ現実があったら肺に穴があくわ。
夢の冒頭で気づいてはいたが、いつの間にか夢に入り込み過ぎていた。
まあ、最初の方は確かに面白くなかったこともないですよ。はい。
むしろ、途中から現実であれと願っていた時もあった。
……
………………
…まあいい。今日はもう帰ろう。
まさか、誰も起こしてくれないなんてな。バースデイボーイなのに。
俺は無人の教室を後にした。
家の近くに着く時には、すでに日も沈んで辺りは真っ暗になっていた。
はあ、今日も疲れたな…
信一くん…
暗闇の中から現れた見慣れた顔。
あれは…桜か?
おう、桜。こんな時間にどうした?
あの…その…これ!!
桜の手に握られた小さな箱が、俺の胸に押し付けられる。
誕生日おめでとうございます!!
う、うん。ありがとう
俺はその箱を手にする。
……!!
箱を受け取った瞬間、桜は走ってどこかへ行ってしまった。
プレゼントをわざわざ渡しに…?
家に着くと、大きな紙袋が玄関のドアにかけられていた。
これは…?
不思議に思い、袋の中を確認した。
そして中には、箱が一つに手紙が一枚入っていた。
べつに喜んで欲しいからあげるんじゃないんだからね!
ちなみに、その手紙に名前は書かれていない。
ふはははっ! こんな文を書く知り合いなど一人しか知らない。
もー、本当に正直じゃないんだから♪
そんな事を考えた俺だけど、女の子二人にプレゼントを渡された俺の顔が緩々だったのは言うまでもないだろう。
今年は最高の誕生日だ。