[DEFRECT HARM]!

(被害を逸らす)

アダムスキーの呪文は、

素早い攻撃をも完全に見切っていた。



完全なタイミングで捌かれた攻撃は、

誰にも当たらない。

……

――その間、セミョーンは



同様に防御するでもなく

攻撃を繰り出すでもなく



ただ、それを見ていた。

……セミョーン?

攻撃の筋を見る限り、やはり狙いは俺一人のようだな

おい――

違和感を覚えたアダムスキーが

止めようとしたときには、わずか遅く。

無防備な姿のまま、

セミョーンは前に踏み出していた。

来いよ

おい! 止め――

何故、こんなことをした?

近くの地面に目をやれば、

打ち倒された、今はもうただの蛇。



地面に仰向けに倒れるセミョーンの

驚くほど小さな傷口に、

アダムスキーの指先から

治癒の光が放たれ続けている。

こうでもしないと……断ち切れなかったからな

なに?

お前はそんな気はないかもしれないが、俺はこの3年ずっと、この土地に縛られてた

悪くはなかったぜ?
むしろ、こんな仕事止めてこっちに住んじまおうかと思ったこともあった

ただ……

お前にもそうさせたいとは、俺は思えねぇよ

ずっと何かに囚われ、縛られながら生きていくなんてのはな。

……

イグは、恨みを忘れやしない。ここで一匹や二匹倒したところで、キリがねぇ

俺にしろお前にしろ、その呪いを受けちまったら、俺達は、また呪縛から抜け出せなくなる

蛇人間を殺さなくても同じだ。
無力化できてたところで、結局その存在に囚われることには変わりない

お前はあいつを許せなかったんだろう?

それは……

ああ、お前は行動に私情を挟まないくらいのことはいくらでもやってのけるさ

だが、これから先一瞬たりと緩むことなく、奴への殺意を制御し続けられるか?
――俺は、お前を信じ切れねぇ

お前にイグの呪いを押し付けるくらいなら……お前を縛るくらいなら。
俺が死んだ方が、マシだ

……

お前のそういう甘さが、心底嫌いだ

っはは、嫌われたもんだな

なあおい、分かってんだろ?

……何が?

情報屋は、いつ死んでもおかしくねぇ仕事だ。
てめぇの退き際は嫌でも分かっちまう

お前だって馬鹿じゃねぇ

……ここが退き時だって、分かってんだろ?

――これ以上の「最良」は、望めねぇよ

……だから、もう、無駄に魔力を消費するのはやめろ。

聖なる蛇の毒は、絶対に解毒できない……一瞬でも魔力を注ぐのを止めれば、俺は死ぬんだ。
先延ばししたところで、何も変わらないぜ

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