話?
おいおい、見苦しいのは嫌い、いや、好きだがもう構ってらんねぇ。
俺にはもう聞きたい話なんて――

寒さに耐える魔術、姿を変える複数の魔術、亡者の支配

少なくとも10を越える魔術を知るといわれる蛇人間だ、まだまだ手持ちの魔術はあるんだろう?
それに、生身の人間一人くらいで敵うとは思っちゃいない

だが、あんただってこの世に何も恐れるものがないってわけじゃないだろう?

俺は、このサスリカで起きた、まだお前の知らないことをいくつか知ってる。
そのどれかが今後あんたにとって脅威にならないと断言できるか?

ああ、ちなみに、多少魔術の知識はあるんでな。あんたに殺されても、俺の魂は、あんたに囚われない

従属させて話を聞こうったって無駄だ。むしろ真実を知るチャンスを永久に逃すことになる

ハッタリだろ。
そんな魔術、聞いたこと――

あんたの知らないことを俺は知っている

断言できるか? 一片の迷いもなく確信できるか?
イグ神に誓って

……っ

あんたは、俺の話を聞くしかない

あんたの優位は揺るがないんだろう? 俺ごときに負けないんだろう?

――なら、聞けよ

……威勢は良いようだが、なんの話をしようってんだ

そうだな、さっき少し気にしてたよな? 俺がリーリヤ嬢ちゃんの手記をいつどこで手に入れたのか

俺に見せられるまで存在すら知らなかったみたいだからな?

別にそれ一冊で何ができるわけでもない。
お前があんまり誤魔化すから気になっただけだ

ってことは、今は気にしてるんだな?

良かったじゃねぇか、気になってることを解消できる

……サスリカへ来て3日目には手に入れていた、って言ってたな

そう。どこにあったと思う?

……樹海ではない。あそこに、その良い保存状態で本を置いておける場所など思いつかない

森小屋ではない。あんな狭いところに隠してあったら誰か気づくはず……いや、完璧に探したわけではないから、可能性はあるか……

! あの何か隠したような態度……まさか、シャルロッタが隠し持っていたのか?

落ち着けよ

まず、シャルロッタが俺に素直に渡すわけないのは明らかだよな? 険悪なのは演技で実は俺と繋がってるって可能性もゼロじゃないが、さすがに考えなくて良い

で、盗まれたんなら、なんでシャルロッタは俺を疑わないんだ?

そして、どうやって俺が、まだ3日やそこらで、お前も最後まで気づけなかったようなこんなモノの存在に気付いたっていうんだ?

俺は情報屋で、物取りじゃないぜ。知らなきゃ「盗もう」なんて思えねぇ

……なら、どこにあった

イリヤは、1日目の夜に起きたことを一部知らないからな。
あんたは知ってるか?

あの晩、俺の部屋の窓にこれが取り付けられてた

ソレがどうした

俺は深夜にイリヤの話を聞いた後から、リーリヤ嬢ちゃんについて考えていた

嬢ちゃんには、ただの行方不明者にしては奇妙な点がいくつもあった。イリヤに情報が回らない、ってのが一番の違和感だった

それはもう手記の内容で分かってる

ああ、だが、何も知らない1日目だったらどう考えるか、一度頭をまっさらにしてみろよ

あの日、お前は儀式をただ進めていただけだったんだろうが、俺はそこそこ忙しかったんだぜ?

Ж

一日目夜、アダムスキーの部屋の窓に
置かれていた機械は?

アダムスキーがリーリヤの手記を
手に入れた方法と時期は?

Ж

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