はぁ、と少年はため息をつく。
先ほど父親が死に、話相手は目の前のアンドロイドのみとなった。
だが、少年はアンドロイドに喜々として話しかける。
それはきっと昔から少年はアンドロイドを人間として見ているからであろう。
…ついに僕ら二人だけになっちゃったね
肯定。あなたは最後の人類
せっかく二人って言ったのに自分は入れないんだ…
肯定。私は人類存続のためのアンドロイド
悲しいなぁ
はぁ、と少年はため息をつく。
先ほど父親が死に、話相手は目の前のアンドロイドのみとなった。
だが、少年はアンドロイドに喜々として話しかける。
それはきっと昔から少年はアンドロイドを人間として見ているからであろう。
けど、この状況はアダムとイヴみたいだね!
検索…不能。「アダムとイヴ」についての定義が不明
そうか、父さんが死んでネットワークが使えないのか
父親がなんとか生き残りのサーバーを使いネット環境を維持していたおかげでアンドロイドは万能を果たしていたが、もうそれは叶わない。
うーん、そうだなぁ。
言い方にもよるけど
人類最初の恋人ってとこかな!
証明不能。恋の定義が曖昧
恋はそうだなぁ。
誰かを自分の物にしたいと思うことかな
否定。私はあなたを欲していない
僕は君に恋してるのに?
……それはあなたに恋をしろと言う命令?
命令じゃなくて、許可かな!
僕に恋していいよ!
不可能。私があなたに恋をする必要はない
悲しいなぁ
午後11時を確認。明日のために体を休めることを推奨
もうそんな時間か
まったく一日は早いなぁ。
おやすみ、クオリア
…………………
あなたは私の寿命が短いと知ったらどんな反応をするかしら
それとも、こんな人間らしい反応ができることに驚くかしら
ずっと無機質に返してるのに……
ほんとバカな人
…………こっちの気も知らないで
ぽつぽつとクオリアは呟く。
寝ている少年にはギリギリと届かないような声。
それは音声では無く、間違いなく「声」だった。