【第十二幕】
『自分の生い立ち、忘れられない過去の悲劇』
【第十二幕】
『自分の生い立ち、忘れられない過去の悲劇』
あ、兄貴が別の場所にいる!?
そうよ
……?
兄貴ならここで横になってるじゃないですか
そうね
だから何て言えばいいんだろう……
マチさんはね
異世界人なんですって
え、ええ!?
なに?
伊勢の海?
い、異世界……ね
ぶ、舞台とかの話ですか?
こんな時に……
神谷さん、マチさんを信じてあげてください
……マユミさん
というかマチさん、もう一度改めて貴方の生い立ちを教えてくれませんか?
私もまだ理解が追いつかないし、読者の方々だって……
メタいけど……分かりました
神谷さんも、とりあえず話しだけは聞いて下さい
わ、分かりました……
ありがとうございます
マユミさん、コウタくん
私は、二人に自分の生い立ちを語り始める―――――
私の本名は竹内マチではありません。
本当の名前はベルといいます。
勿論、生まれた世界もこの地球じゃないんです。
生まれ故郷は惑星・マルク、簡単に言うと異世界ですね。
ここじゃない世界の小さな村で生まれました。
地球では考えられないことですが、私の世界の住人は皆、超能力が使えるんです。
最初からではないです。
大体生まれて半年から一年くらいで体に能力が宿ると言われています。
これは、惑星マルクの環境が影響しているそうですが、正直自分にとっては知らなくてもいい事でした。
ちなみに私は生まれて四ヶ月後、指先に火を灯したそうです。
村のみんなが異能の力を使えるため、トラブルは多々ありましたが、ごく普通の、幸せな生活を送っていたと思います。
しかし、ある日です。
目覚めると、辺り一面は火の海と化していました。
空を見上げると、漆黒の翼を羽ばたかせ、火を噴き、村の家々や森を焼き尽くす怪物の姿が……。
私は怖くて、身動きが取れませんでした。
戦わないとみんな殺される。
頭では分かっているのに、足がすくんでしまったんです。
生き残ったのは、まだ五歳になったばかりの私だけでした。火を操れて、さらに耐性もある私だったからこそです。
両親の亡骸を発見した時の、あの何とも言えない感情は今でも忘れません。でも涙は出ませんでした。多分まだ幼かったからかな。
後にその怪物が『竜』と呼ばれていることを知りました。
しかし同時に、何も知らない物達は、『火を生成できる=ベルが犯人』と、謎の考察で子供の私を問い詰めました。
そんな中私は、『ミライ』という神様に出会います……
第十二幕 終