【第十一幕】
『そこに存在するのに、伝えられない言葉と想い』
【第十一幕】
『そこに存在するのに、伝えられない言葉と想い』
……
そっと病室を覗くと、そこには綺麗な金髪の少年が昏睡する患者の顔を見続けていた。
ベッドの横には患者の友人からだろうか、花束や沢山の果物が置かれている。
兄貴……母さん……泣いてたぞ?
何か言えよ!!!
くっそ……何でこんなことに……
失礼します……
は、はい!?
神谷ユウキさんのお見舞いに伺いました
あ、ああー
兄貴の友人ですか……どうぞ
いや、私ではなくてですね
?
こ、こんにちわ
ど、どうも
あの……神谷ユウキくんと小学校が一緒だった竹内マチと言います
ああ、もしかして転校前に兄貴が告った!
ご存じなんですか?
ええ、兄貴が付き合ってたって言ってましたけど
え!?
彼女さんなんですよね?
なんか毎日、日記付けてましたけど兄貴
いやいやいや、告白はされましたけど!
まだ返事とかしてなかったし!
日記って……ストーカーの匂いがするわね
あ、付き合ってなかったんですか?
それは失礼しました
俺、ユウキの弟で『神谷コウタ』と言います
せっかくなので兄貴の顔を見てあげてください……
コウタくん……
マチさん、あのことを話さないと
そうね
あのこと?
コウタくん!
信じてもらえないかもしれないけど、今お兄さんはここじゃない別の場所にいるわ!
……はい!?
第十一幕 終