拓はマリの家で黒魔術の本を出し、すぐに召喚を始めた。
インヴォ……!
拓はマリの家で黒魔術の本を出し、すぐに召喚を始めた。
中から禍々しい姿をした巨大な化け物が現れる。
我を呼び出したのは貴様か……
そうだ! 三つ叶えてくれるんだよね!
代償も三つだがな……
それは人を生き返らせたりはできないの?
……我々に魂の操作は不可能だ
そっか……なら
拓は願った。
一つ目、マリの魔力を『拓』に返してくれ。
その代償として、拓は十二時間で忘れられてしまうようになった。
二つ目、マリの存在を返してくれ。
その代償として、拓にとって大切な人には拓の存在が見えなくなった。
これで、マリはレオン達にも認知されるんだよね?
ああ……魔力も返したことにより軌跡の代償もなくなった
よかったね、マリさん。お幸せに……
最後は何を願う……
なら、三つ目は特にないかな……
特にない…か。
この人もまた、
他人のために願い、
他人のために自己犠牲する。
なんて儚い生き物なの。
……どうしてそんな優しい笑顔ができるの。
待って
ラファエル様?
拓。
今日ほど、あなたを選んで良かったと思った日はないわ。
私の求めている美しさを、あなたは軽々と超えていくのね。
あなたに負けたくないし、
この記憶を、
この感情を、
失いたくはない。
拓を……この人を、私だけには認知できるようにして
……よかろう。だが、その代わり貴様の軌跡も代償として貰うぞ
いいわ
ラファエル様……
……では、その願い叶えてやろう
そして、皆から私と拓の記憶が消えた。
みじめね
いいんだもともと一人ぽっちだったし
一人ではないわ
ラファエル様とも十二時間以上離れたら忘れられちゃうよ
そんなこと、わかってるわ
……ずっと一緒にいてくれるってこと?
黙りなさい豚。
優しくしたいわけじゃない。
優しくされたいわけじゃない。
勝手な自己犠牲だって許さない。
ただ、貴方から目を離せないのは、
間違った道に行かないで欲しいだけ。
転ばないで欲しいだけ。
ただただ……
私に黙って、いなくならないで欲しいだけ。
もしも、これが愛だと呼べるものであるのなら、
愛を教えてくれたあなたのそばに……
ずっと、一緒にいたい。
この戦いが終わったら、また旅をしましょう。
もっと世界を見て廻りましょう。
天界に帰るのは当分おあずけ。
続けましょう。
貴方と私の、
醜くも美しい旅日記を。
……行くわよ
ずっと、一緒に。
最期までお読みいただきありがとうございました。
これにて第一部は終了となります。
第二部はいったん掲載中止にさせて頂き、他サイトで連載して頂こうと思います。
またストリエが活性化することがありましたら、続けさせていただきたいと思いますので、その際はどうぞよろしくお願い致します。
感想などは全て目を通させて頂き、次回作の栄養分にさせて頂いておりますので、もしここまでお読みいただけましたのでしたら、ぜひご感想お待ちしております^^
ご通読ありがとうございました。
――すずろ