とぼとぼと家に帰った僕は一人で部屋に閉じこもった。
正確には、別荘の部屋、だが。
とぼとぼと家に帰った僕は一人で部屋に閉じこもった。
正確には、別荘の部屋、だが。
……自分が別荘に来ないかって言ったのに。それはまあ、お酒を止められたけれど飲んだ僕も悪かったけれど
そう僕は呟きながら、自分の唇を僕はなぞる。
まさかキスしてくるとは思わなかった。
“親友”はキスしないよね
声に出してみてから僕はその意味についてようやく……今まで目をそらしていたそれを見つめる。
つまり、ジュリオ王子は、僕を恋愛感情で僕を好きなのだ、と思う。
好きじゃないとキスをしないよね。でも、好きじゃなくてもキスはする気もする
だからつい出来心でしたのかもしれない。
僕にそんな事、ジュリオ王子がするはずないし。
うん、“親友”だから試しにやってみただけだよね。それに少し機嫌が悪かっただけ……
話は聞かせてもらったわ!
そこで、僕が一人で呟いていたはずの部屋のドアが開かれる。そこには、
わ~い、ヒロインちゃんだ~、うごっ
ヒロインちゃんが現れたので無防備に近づいた僕は、頭をがしっとヒロインちゃんに掴まれた。
ヒロインちゃんの握力は結構あるようで頭が痛い。
な、なんでこんな
この公爵家のアホ息子もアホだけれど、あっちはあっちでヘタレって、別れましょうって言っているような物じゃないの
え? でも婚約破棄……
あれ、書類と成立しないようになっていたはずなのよ
……え? な、何で
何でも何もないわ。はじめからジュリオ王子は、公爵家のアホ息子である貴方しか眼中にないのよ!
面倒くさいというかのように、ヒロインちゃんがそう僕に告げたのだった。