お試し・手
お試し・手
おーい!!
ん? 何だありゃ。手か?
おいでよ
うぃ~
砂浜から生えてる手の言うこと聞く人は、あなたが初めてだったよ。霊とか見える人?
いや。でも、何か別に襲われても良いかなって
失敬な、人を襲ったりしないし、そもそも不器用な左手一本に何が出来るのさ!!
さぁな
ひどっ! 何か一つくらい褒めてくれても良いじゃない!!
そう言われても、俺も左手みたいな存在だからな
おやまぁ。と言いますと?
仕事が上手くいかなくてな。いや、正直人間関係も
そりゃあコメントに困っちゃうな
な? だから左手って、そういう存在なのさ
確かに、そうかもね
でも大丈夫さ
何を根拠に
左手はね、右手が文字を書く為に紙を支える存在。つまり、縁の下の力持ちなのさ
それに、つい右手が重たい物を持ち過ぎた時、左手は手を貸してくれる。左手は右手にとって必要な存在なんだよ。逆も然りだけどね
それはあまりに当たり前のことだから誰も気づかないけれど、本当は感謝されるべき存在なんだよ左手もあなたもね
……何だか、逆に励まされちまったな
分かったら、たまに撫でてやりなよ。左手も、あなたのことも
ああ、有難う。お陰で思いとどまることが出来たよ
何が?
……分かってるくせに
じゃあな
僕が見えてる人は、たいてい、自分の人生に思い悩んでいる人が多い。そうした人を呼び込んで、時々説得したり説教したり、時に海に飛び込んでしまう人には、この手で何度も助けに行った。
何が言いたいか分かるかい?
つまり、左手は使えるってことなのさ。
お試し終わり
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