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乙女心
パイナツプル!
夕暮れの中、活発そうな少年はそう言いながら元気よく階段を登る。
あーあ、負けちゃった。
同級生と思しき少女は、階段の下でグーを出したまま寂しそうに俯いていた。
ふぅ。
そりゃ、いつも美樹ちゃんがグーかパーしか出さないからだよ。
呆れたような少年の言葉に、少女は少しふくれっ面になり
だって……。
と強く言いかけた後、
そう簡単に出すものじゃないでしょ、チョコレートは。
と小さく呟き、くるりと回って背中のランドセルを少年に向けた。
?
幼い少年は首を傾げて、階段下の乙女を不思議そうに眺めていた。
《了》