スーパークローン赤ずきん
(前編)
スーパークローン赤ずきん
(前編)
今日クローン人間の映画見たんだけどさ……すっごく怖かった。あれが世に蔓延ったらどうしよう
そうかな? お客様は倍になるし、私達だって二人いたらお給料倍だよ? 絶対良いよー
え、あ。そう言う発想もあるのか……
ってわけで、その案貰った!!
と、言うと?
作るのだよ、クローン人間をっ!!
店長、もし自分が二人いたらどうします?
いらないよ、お客さんに怒られて惨めな自分を直接は見たくないからね……
……これは?
何って分からない? クローン製造マシーンだよ
どうやってこんなものを?
よく落とし物するピンク髪の子から借りてきちゃった!
あの人マジで何者……?
にしてもよく借りられてきたな、そんな重要なマシン
手紙見て、懐古と共に、涙して
……借りられた理由は分かったから、言わないであげて。って言うか涙多いな
これを入り口に置いて、気になったお客様に入ってもらおう!!
お、おい。勝手に良いのかよ
任意なら別に構わないでしょ?
そうかなぁ……?
多少の不安は残ったものの、俺と赤ずきんは二人でマシンを持ち上げ、入り口の前に置いた。
ママ見てー! ご自由にお入り下さいだって~!!
まぁ、随分とリアリティのあるプラモデルね……じゃあ入ってみなさいな
見てみて、あれ、面白そう!
あんなのに喜ぶなんてお子様だな。ま、良いぜ。入ってみようか
いらっしゃいま……おおっ!
わー、本当に二人になったね
わー、本当に二人になったね
……あ、ああ
大丈夫か? コレ
ちゃんとクローンが誕生したね! これでお客様も売り上げも増えるぞー!!
……い、いや。赤ずきん、アレを見ろ
ママ―ねぇママってばー
おやつ買ってよー
ど、どうなってるのよこれ……
ねぇママ―
ねぇママ―
ありゃま
あっちだって……
これ、生焼け
しかも太さバラバラだし
ちょ、ちょっと待って。怒る前に、なんで二人いるの!?
何してるのー?
何してるのー?
新人イジリ
面白いよ
何それー
私も混ぜて―!
や、やめてぇぇぇ!
悲惨だね……
おい! 袋よこせ!!
袋は要らねーよ!!
うわあああ! もう終わりだー!!
狼さん、大丈夫だよ
そう言うと、赤ずきんはレジを飛び出していった。
ま、まさか……。
言い出しっぺが責任取らなくっちゃね
まぁ、任せなって
50話後編へ続く