[入替]

私達――!?

入れ替わってる――!?

まぁワシの力なら、階段から落ちたり、街角でぶつかる必要もないわけで

……私が眼の前にいるのは、夢ですか、幻術ですか?

世間で流行った入れ替わり、ワシらも一つそのブームに乗って

へっぷしっ!?

ーー早く仕事をせんか、この駄メイドが!

ちょ、従者さん、なに言ってるの!?

あ、あの、従者様?

なれなれしいな、帝王。
突然、こんなことをした仕置きも済んでないのに

す、すみません

でも、そろそろお遊びはやめにしません?

ふっ、そうだな

――いや、どうして壁ドンなのか、
意味がわからん!?

夜の吸血鬼と、その従者……
やることは、一つだろう?

大丈夫か?

帝王様。
私の身体の血、すごく不味いです

前にも言ったが、魔力を流すための潤滑剤のようなものだからな

血がなじまないって、本当だったんですね

……嘘なら、私の血でもかまわないって、
なれるかと想いましたのに

――その気持ちだけで、
十分、ワシは吸いすぎているよ

やはり、この身体がしっくりきますね

お、おぅ

……そんなに怯えられて、
どうされました?

いきなりの豹変、
ワシでも予想できなかった。
帝王真っ青

放送コード内のお仕置きで済んだの、
よかったと想ってくださいね

……?

――いや、されて悲しいの、ワシとお前のどっちになるの?

もう、入れ替わりは勘弁ですね

だが、収穫もあった。
ああいった趣向が、好みだとはな

はい?

ーー夜の帝王としてのふるまい
お前が望むのは、それだろう?

帝、王……

血は力とならぬが……
お前が、望むのであれば

ええ。そう、そうですね……
それでは――

あの。
埃落とし、これでいいでしょうか

はい、オッケーです

帝王、なぜかパシられる

色男の声なんか作って、
近寄ってくるからですよ

……中身がワシでは、ダメなのか

――中身が帝王だから、ダメなんです

(私の喜びだけ、受け入れてもらおうなんて……いけません、よね)

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