ダニー

いらっしゃいませ!

ジャン

相変わらず変に明るい店内だな。本当にバーか?

ダニー

夜なのに昼っぽいでしょ?

ジャン

こんな明るい中で酒飲んでも美味くねえさ

ダニー

酒呑まない人が偉そうに言うなっての。ついでに言うとさぁ……

ナタリー

…………

ダニー

子供を酒場に連れてくるなんて、本当にいい大人のすることでしょうかお客様

ジャン

黙ってろ。好き好んで連れてきたわけじゃねえ

ナタリー

ここで、特訓するんですか?

ジャン

するかアホ。単に行きつけの酒場だ

ダニー

お客様、ご注文は?

ジャン

いつもの。こいつも同じでいい

ダニー

かしこまりました

ナタリー

私、未成年なのでお酒は……

ジャン

酒じゃねえよ。俺は呑まねえってさっき言っただろうが

ダニー

お待たせしました

ナタリー

……メロンソーダ?

ダニー

意外でしょ? コイツ舌がお子様だからね

ジャン

ほっとけ

ジャン

っあぁ~、生き返るぜ

ダニー

まったく、お子様なんだから

ダニー

お嬢さんはメロンソーダ嫌いだったかな?

ナタリー

あ、いえ……

ダニー

ところで、今日はどういう件で?

ジャン

拠点を移そうと思う。そう遠くはいかねえが

ダニー

はいはい、了解しました。今回の報酬全部持ってく?

ジャン

そんなにはいらねえだろう。10でいい

ダニー

あいよ。じゃあまた後で来てよ。準備しておくからさ

ジャン

ああ、分かってる

ナタリー

…………?

ジャン

なんでまだついてくるんだか

ナタリー

殺しをまだ教わってませんから

ジャン

教えるとも言ってねえぞ

ナタリー

お願いします……父の敵を、撃ちたいんです

ジャン

…………

ジャン

……お前の親父は、殺されたのか?

ナタリー

はい……仕事の会議に行ってました。私は無理を言って車までついてきていたんです。でも、父はそこで何者かに殺されてしまった……

ジャン

そいつの顔見てねえのか? お前は車にいたんだろう? 逃げた敵の面見てねえのか?

ナタリー

……狙撃されたらしいんです

ジャン

狙撃…………?

ちょっと待て。


確か、今夜殺した連中も似たようなこと言ってなかったか?
娘が車で待っていると。

そして、こいつの親父は銃殺されたらしい。

それに、こいつが俺の前に現れたタイミング……



まさか…………?

ジャン

……いや、考え過ぎだ

こいつの親父はマフィアだ。

そして、あの時俺が殺したのは親父含めて2人だけ。


いくらなんでも、他の組員が連れて逃げるなりしてるはずだ。
もし全員逃げ出したのなら、それはマフィアじゃなくてガキの遊びサークルだ。


それに、組員からの信用もないやつが「若頭」なんか名乗れるはずもない。

やはり、別人だ。

で、その上でコイツをどうするかだが……


急に現れた知らないガキに俺の狙撃術を教える道理はない。

むしろ、俺が背負ってるライフルを知ってるなら、ここで口封じしておくのもありだ。

ジャン

…………

ナタリー

…………

だが、コイツは何を言っても退かないだろう。
まとってる空気で分かる。

銃で撃ち殺しても、意地でかじりついてきそうだ。
もし、それで「仕事」にも支障が出るのは最悪だ。


だったら、触りだけ教えておくだけでも構わないだろう。

その後で手を切ればいい。

ジャン

いいだろう。触りでよければ教えてやってもいい

ナタリー

……ありがとうございます

ジャン

その代わり、俺の身の周りのことはお前がやれ。掃除や飯周りも、すべてだ

ナタリー

はい。お願いします

ジャン

まずはここを引き払うぞ。急げ

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