前回までのあらすじ
前回までのあらすじ
アンデルセン童話の圧倒的ヒロイン力。
それにより、グリム童話は窮地に立たされていた。
改めて考えると、グリム童話ってポンコツしかいないわね。
もうダメです……
アンデルセン童話を倒す手段はありません……
そう! アンデルセン童話こそが至高!
アンデルセン童話こそが童話の中の童話なのよ!
うーん……
うるさいなあ……
あ、いばら姫ちゃん起きたんだ。
起きるよ。
騒がしいもの。
ほ……本当に目を覚ましたの?
まさか私の毒りんごを打ち破るなんて!
なにそれ?
元気だね。
ボケないわね。
いばら姫ちゃんはノリが悪いから。
ふん、仲間が何人増えようと無駄よ!
眠ってばかりのお姫様に、童話ヒロインは務まらないわ!
なんで?
なんでって、役に立たないヒロインに何の価値もないでしょ!
別にいいよ。
王子様が助けてくれるから。
!?
!?
…………
それはあまりにも盲点だった。
ヒロインのピンチはヒーローが助ける。
そんな当たり前のことこそが、物語における一種の核心だったのだ。
100年間、ずっと夢を見ていたの。
いつか、王子様が深い眠りから助けてくれるって……
目が覚めてからも、王子様はずっと私を守ってくれた。
怖い鬼に食べられそうになった時も、あの人が助けてくれたの。
う……うらやましい……
そうよ……
麗しき愛を持ってこそ真の童話ヒロイン……
私、真の童話ヒロインじゃなくていいよ。
王子様にとってのヒロインなら、それが一番の幸せだから……
あまーい!!
甘い! とろけるほどに甘い!
いばら姫ちゃんは国ごと100年の眠りについて、王子さまがその呪いを解いたの。
今でも通用する壮大な物語ね。
ぐぬぬ……
まさかグリム童話にこんな隠し玉が……
ああ、恥ずかしい……
何を私は得意げに語っていたのでしょう……
結ばれるか結ばれないなら、結ばれる方が良いに決まっています。
愛を成就させてこそのヒロイン……
いくら美談でも、失恋は失恋です!
せやな。
私だって本当はカイくんに助けてもらいたかったよ。
でも仕方ないよね……私がカイくんを守らないと……
私はカイくんのためにどこにでも行く。
誰にも……雪の女王にも渡さない……
カイくんは私だけを見ていればいいの……
カイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくん……
愛が重い……
っていうか、こえーよ。
ぼろが見えてきたわねアンデルセン童話!
思い人のために命がけの旅に出るなんて、それは純愛を超えた病デレよ!
くっ……こうなったら私が出るしかないようね。
聞きなさい!
私の素晴らしき王子エピソードを!
アンデルセン童話、親指姫!
ラストは花の国で王子さまと結婚!
王子さまは親指姫に羽をつけてくれました!
それから彼と結婚しました!
終わりっ!
雑いよ!
雑いね。
王子のエピソードが少なすぎです!
ぽっ出キャラじゃないですか!
いーのいーの!
あいつ、幸が薄いから。
花の国の王子なのに酷い言われようだな……
ZZZ……
ふふっ……どうですか?
これでアンデルセン童話の素晴らしさが分かりましたか?
別にあんたには何の手柄もないでしょ。
全部いばら姫ちゃんのおかげじゃない。
何を言いますか!
私だって、王子様のキスで眠りから目覚めているんですよ!
前々から思っていたんだけど。
貴方の物語っていばら姫の……
劣化じゃない?
!?!!!???
言われてみれば、いばら姫の呪いは国規模だけど、あんたの呪いは個人だけね。
眠りも数日だけなんですよね?
いばら姫さんは100年の眠りですよ。
いばら姫ちゃんには結婚した後のエピソードもあるよ!
二人の愛がより確かなものになるの。
王子さまの戦う描写もカッコいいね。
呪われたいばら姫ちゃんの国は、茨によって守られてるから!
描写がすごく細かいの。
時間の停止した国には思わずゾッとしちゃうよ!
ほら、やっぱり劣化じゃ……
劣化とか言うな!
り……りんごとかありますし!
7人の小人とかいますし!
だから劣化とか言うなあああ!!
れ……劣化じゃないよ!
両方とも素晴らしい物語だから、みんな読んでねー!
上手くまとめたー。