あれは小学2年生の時だった。
 
私たちはまだ、序列の恐ろしさなんて知らなくて、ただただ、その時その時を生きていたんだ。

ロリ碧

悠美!

学校へ行く途中で必ず碧は待っていてくれていた。
 
今日もいつものように、碧は先に来ていて、私を待っていた。
 
小さな袋を持って。

ロリ悠美

おはよう、碧

ロリ碧

おはよう!

ロリ碧

今日はクリスマスでしょ!

ロリ悠美

そうねー。
碧はサンタさんまだ信じてるの?

ロリ碧

信じてないよー。
うちのクラスで信じてる女子はいないと思うよ

ロリ悠美

じゃあ、なんでそんなに楽しそうなのよ

ロリ碧

それはねー

碧はにやにやしながら小さな紙袋を渡してきた。

ロリ碧

はいこれ!

ロリ悠美

え?

ロリ碧

碧サンタだよー

ロリ悠美

くれるの?

ロリ碧

うん。
悠美はあたしの大切な人だもん

ロリ悠美

……ありがとう

ロリ碧

いーえ

ロリ悠美

あ、あたしお返し用意してないよ?

ロリ碧

いらないよ。あたしにとっては悠美といれることがプレゼント!

ロリ悠美

なにそれー

それが小学2年生の頃の話だった。
 
序列を知った小学3年生のクリスマス。
 
碧は私にプレゼントをくれなかった。
 
あたしは学校が終わって碧の家へ行った。

ロリ碧

今年はプレゼントないんだ

ロリ悠美

いいよ、いらないよ

ロリ碧

ごめんね。
あたし、学校にいけない

ロリ悠美

学校も来なくていいよ。
あたしが毎日お家に来てあげる

ロリ悠美

だから、碧、もう少しだけ耐えて

小学4年生のクリスマス。

碧はまた私にクリスマスプレゼントをくれた。
 
2年生の時と同じように、登校中だった。

ロリ碧

今年は、ちゃんとプレゼント買ってきたよ!

ロリ悠美

そうなのぉ?
うれしぃ!

ロリ碧

……だから、もういいよ。
あたしと一緒にいてくれなくていい

ロリ悠美

だめ、碧はあたしと一緒にいるの

中学2年生のクリスマス。
 
碧は知らない先輩と一緒に学校に行っていた。
 
プレゼントはお昼休みに貰えた。

悠美ぃ!プレゼントだよぉ?

悠美

ありがとぉ!

ふふ、喜んでもらえてよかったぁ!

悠美

碧がくれるものなら何でもうれしいよぉ

ほんとぉ?

ロリ悠美

うん。碧がくれるものならなーんでも!

中学3年生の時、碧はクリスマスのプレゼントをまっすぐに持ってきた。

悠美

毎年ありがとう!

ううん。
あたしはぁ、悠美が喜んでくれるならぁ、なんでもするよぉ

悠美

うれしぃ!碧だけはずぅーっと、大切にするねぇ?

碧を言葉や行動で縛りつけながら、高校まで来た。
 
もう後戻りはできない。
 
碧と楽しいクリスマスはいつからか、互いを縛る儀式になっていったんだ。

番外編:クリスマスの世界!

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