立川 伊月

よーし、今から言うことをよく聞けよ

メルシーちゃん

はい先生!

立川 伊月

誰が先生じゃ。これから俺の彼女を家に入れるからおとなしくしてろ。というか、タンスから出てくるな

メルシーちゃん

どうして会っちゃいけないの?

立川 伊月

いろいろ面倒なことになるからだよ。その姿だからびっくりさせちゃうかもだしな。タイミングを見てちゃんと紹介するから、今回は隠れててくれ

まぁ、合わせるつもりもありませんが。

このせいで彼女との仲がギクシャクするのは絶対に嫌だ。


なんとか、こいつがソワールさんに連れていかれるまで隠し通さねば…………

メルシーちゃん

嫌だ!

立川 伊月

…………っ

立川 伊月

……あのさあ、今回だけって言ったよね?ちょっとだけでも我慢できないの?お前がバレたら困るの俺なんだけど

メルシーちゃん

絶対紹介してやらないって顔してたもん!

……鋭い

羊のくせして存外鋭い。


ぐうの音も出ないところだが、俺も折れるわけにはいかないっ

立川 伊月

そそんなことないさ。俺は約束は守る男だ。次の機会には必ずお前を彼女に合わせると約束しよう。だから今は――

イツキー?入るよー?

立川 伊月

隠れんかい!!

メルシーちゃん

っ!?

大声聞いて怖くなったのか、今度は素直に隠れてくれた。


しっかり入ったことを確認して、ようやく彼女を中に入れる。

水無 夕夏

ずいぶんバタバタしてたみたいだけど、何かあった?

立川 伊月

いや、何もないぞ?

あぁ、やっぱり彼女と一緒にいると癒される。


このほんわかしてるところがたまらんっ




なんか昨夜から現実離れしてることばっかりだったから、尚更落ち着くな……

水無 夕夏

そういえば、伯母さんから預かったペットってどこにいるの?イツキの部屋とか?

立川 伊月

ま、まあそれは後で教えるよ

水無 夕夏

そう? というか昨日もちゃんと言ってくれればよかったのに。私だって力になったよ?

立川 伊月

うん、ありがとうな。ユウカのそういう言葉嬉しいよ

水無 夕夏

や、やめてよ。照れるよ~

水無 夕夏

えっ?

立川 伊月

あんのバカ野郎…………

そういえば、何も食わせてなかったな……


こりゃ、なるべくあいつを早く解放して何か食わせないと、後がうるさい

水無 夕夏

イツキ、今の音何?

立川 伊月

あーっとえーっと、腹が減っちゃっててさ。寝起きで何も食ってないんだ

とっさにしては、なかなかうまく逃げられたのではないだろうか。

水無 夕夏

やっぱりね。イツキ休日は朝ごはん食べないって言ってたし

立川 伊月

そそそそうなんだよ。いや~お腹ペッコペコ!

水無 夕夏

そうだと思って、イツキの朝ごはん買ってきたんだ♪

立川 伊月

へ?

立川 伊月

すげえ!めっちゃ美味そうなドーナツ!

タイミングよく腹を鳴らすなしっ!!

水無 夕夏

一緒に食べようと思ってたくさん買ってきたんだ♪

立川 伊月

ありがとうな。いつもいつも

水無 夕夏

イツキも色々大変なの知ってるもん。私もサポートしたいからね!

水無 夕夏

さあ、早くドーナツ食べよう

立川 伊月

は~い♪

メルシーちゃん

はーい♪

水無 夕夏

きゃっ!?

立川 伊月

…………

メルシーちゃん

…………?

立川 伊月

……出てくるなっつったよな、羊もどき

メルシーちゃん

早くドーナツ食べよう?冷めちゃうよ?

立川 伊月

常温OKだわ!!

水無 夕夏

ねぇイツキ?誰なのこの……人?

立川 伊月

ああああえーと、コイツはっ

メルシーちゃん

カレシです!

立川 伊月

嘘つくなし!!

pagetop