くっっ……、うっっああああ……、こ、これは……、あああ!
あ、あの……、これいつまで続きます?
もうちょい!!!
俺の誤魔化し演技は十五分ほど続いていた。
そろそろ周りの観客も察してきたのか、続々と帰りだしている。
さーて、どうしたものか……
ノトさん、よく頑張りました……、だからこれ以上はやめてください、胸が苦しいです……
マチちゃんが心配してくれている……、テラカワユス!
そ、そんな……!
あ、あれ? プリス姫はまだ信じてそう!?
こ、こんな事って……
これはチャンスかもな……
俺は少し間を置いた後、体の力を抜き、呼吸を整えた。
ふーーーっ!!!
戻った
……
よし、俺の神演技の時間だ!
ははは、素晴らしい! 力が、力がみなぎってくる!!!
まだ終わってなかった……
で、でしょうね! まさかあなたがここまでの器だったなんて……計算外だわ!
仕方ないから今回は見逃してあげよう、俺の気が変わらない内に消えな!
私は姫よ! そんなみっともない真似は出来ないわ!
んー、上手く丸く収まらんかなー
どちらもすぐに動き出せず、場は硬直状態になった。
マチもプリスがここまで騙されるとは思ってなかったらしく、ただただキョトンとしている。
さて、では……
ちょっと待った!
ん!?
あ、上!
あ、あなたは!
俺たちは全員空を見上げた。
上空にいたそれはにっこりと笑顔を浮かべ、地上にゆっくりと降り立つ。
男だ!
しかもよく見るとイケメンじゃないか。
やあやあやあ! こんにちわ諸君
イケメソか!
あ!
……!
久しぶりだね、姫!
あれ? 知り合い?
ノトさん、おそらく彼はこの世界で最も知名度がある人です
そ、そうね……、あなた変わってないわね、この突然すぎる登場の仕方とか
『世界最強の王・ノア』
最強なんて、照れるわ!
強そうだけど、オーラとか無いですね
君がこの空気の正体か! うんうん感じるよ! ヒシヒシ感じる!
はい?
アニメを見てたらさ、妖精山の方からとんでもない力を感じてね! 飛んできたんだ!
あー、それで空から登場っすか(こっちにもテレビとかあるんだ……)
ふふ、君の名は?
こっちではやってないですよねー
は?
あーいや、こちらの話しです……
俺はノトです
ノトくんか! 名前まで似てるとはね!
あのー、さっきから何ですか?
うん、君は気付いているのかな?
え?
じゃあやっぱり!?
そう、ノトくん君はね
「俺と同じ『虚無の力』に覚醒している!」
……
俺TUEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!!!!!!!!!!
じゃん!
そうだね、君はとても強くなった!
はー、なんか急展開過ぎます……
第九章 終