朝が来てしまった……そして大学に来てしまった……

昨日、あの後石川くんから連絡があったけどバイトだって嘘ついて帰った。師匠に嘘は良くないけど、何故だか愛ちゃんに会った後では会いづらい。

まぁ、サプライズの方がいいし。

なんて自分の中では無理矢理納得しておいたけれど。

雨宮 要

朱里。もう一度だけ聞いてやる。本当にいいんだな?

間宮 朱里

……ま、またそう言うことを。要くんは……



最早、自然に会うようになってしまった弟子同士の私達。しかし今日は、更にも増して不機嫌な天使がすごい形相でそんなことを聞いてきた。

間宮 朱里

……愛ちゃん見たでしょ?あんな美人と身体の相性が良かったら普通、恋人になるに決まってるよ。きっと何か付き合えなかった理由があるんだよ。外国行くから告白できなかったとか。

雨宮 要

……そうは思わないけど…

間宮 朱里

とりあえず石川くんに報告する。素敵なサプライズ用意したよって!喜んでもらえたら嬉しいもん!!



笑顔が見れるならそれが1番嬉しいと思う。私のせいで沢山迷惑をかけているし、そろそろ石川くん自身の幸せを考えて欲しい。

雨宮 要

……どうしてそこまで他人本位なんだよ。

間宮 朱里

…他人本位ではないんだけど、それでも心配してくれてありがとう。私、口は悪いけどなんだかんだ面倒見良い要くん好きだよ。

雨宮 要

!!!

間宮 朱里

……一緒に師匠の幸せを見守ってね。

雨宮 要

…な、なんで俺が。大嫌いなお前なんかとっ!そりゃ翔平先輩には幸せになって欲しいけどっ!!



憎まれ口を叩く後輩を可愛く思いながら、今日の予定を考えた。


昨日ミーコちゃんから、連絡先を愛ちゃんに教えて良いか聞かれて教えた。石川くんに会う気があるなら時間までに連絡をくれるだろう。


いつ来るかはわからないけど。
そして無事に2人を再会させたらサプライズ成功だ。

そんなことを考えていると

石川 翔平

朱里。


と静かに名前を呼ばれた。


間宮 朱里

い、い、石川くんっ!

石川 翔平

……昨日、少し様子が変だったから体調が悪いんじゃって心配してたんだ。今日も良くはなさそうだね。頑張りすぎじゃない??

間宮 朱里

だ、大丈夫ですっ!今日、すごいサプライズがあるから楽しみにしててねっ!!!



ついどもってしまうのは何故か。
相変わらず今日も眩しい。
愛ちゃんと並べば、どうなってしまうのか。


石川 翔平

サプライズ??

間宮 朱里

そ、そう!絶対喜ぶよっ!ね、要くん!!




俺に振るなと言った顔をした彼は、すぐに天使モードで笑顔を作って

雨宮 要

そうですね。



と棒読み気味に呟いた。


間宮 朱里

なので、また後で!講義いかなきゃ!!またね!!要くん行こう!!

石川 翔平

…ちょ…




……いやサプライズするのは、良いけど私下手すぎる。こんなの怪しいし、なんか失礼だ。



わかってはいるけれど逃げる足が止まらない。


雨宮 要

…いや、朱里先輩っ!! お前バカすぎ!!サプライズ下手!!

間宮 朱里

いま自分で反省したところ!!!不自然に避けちゃった……

雨宮 要

俺、また嫌われた。すごい睨まれてたんですけど……




ぶつぶつ文句をいう要くんと早足で逃げて、とりあえず師匠と距離を取った。



間宮 朱里

……とにかく、愛ちゃんから連絡がきたら要くんにも言うからね!

雨宮 要

巻き込む前提かよ……

間宮 朱里

あの2人が無事にくっついたら私達で祝杯あげようっ!!ご飯奢るから!今日と言わずとも一週間以内には決着が着くはずっ!!

雨宮 要

……ご、ご飯って2人で食べに行くのか?

間宮 朱里

うん。嫌?

雨宮 要

いや、別に良いけど……



要くんとそんな約束をして、よしっ。と勝手に頷く。



大丈夫。
きっと、ううん。
絶対上手く行くから。


元気がないなんて、石川くんの気のせいだよね……



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