スーパーと言えば、店内で流れるキャッチ―な音楽だろう。

 今回も、「春のお菓子キャンペーン」と言うことで、我が店舗特製のお菓子ソングが流れている。

赤ずきん

お菓子、お菓子、お菓子をたっべよ~。もう耳から離れないね!

耳が良い俺は、特にだな

赤ずきん

私ですら忘れられないくらいだからね~耳タコでしょ?

ああ

赤ずきん

やっぱりね~

バイト君

お菓子で一番何が好きです?

店長

麦チョコかなぁ……

息子

お菓子、お菓子欲しいよ~!!

母親

また、この子はわがまま言って……

あ、またあの子泣いてる

赤ずきん

泣くのは子供の仕事だからねぇ。それじゃあ、ちょっくらお仕事休ませてあげよっか

え?

 赤ずきんはそう言うと、少年の下へ向かった。それを、俺は茫然と見つめる。

赤ずきん

ねぇねぇ、この歌の歌詞の続き知ってる?

息子

ううん、知らない

赤ずきん

この歌詞の続きはね、お菓子を食べることによって、やがて魂をすり減らし、やがてお父さんやお母さんに会えなくなるって歌詞なんだよ。だからね、お菓子をたべるとお父さんやお母さんに会えなくなるんだよ~

息子

え……

息子

いやだ! やだよ~!! ママと一緒にいたいよぉ

母親

まぁ

赤ずきん

さ、わかったら今日は帰りなさい。今日帰れば、お菓子も許してくれるって

息子

う、うん

母親

教えていただき有難う御座いました、それでは

赤ずきん

ハイ、また今度お越し下さい!

 赤ずきんが言うと、母親は笑顔で頭を下げ、対して子供は大粒の涙を流しながら、親子は店を去っていった。

あの歌詞って本当なの?

赤ずきん

ううん、全然違うよ。本当は、お菓子の良さを伝えに伝え、最終的にみんなお菓子の虜になっちゃえ~って感じの歌詞なの

そうなんだ

赤ずきん

でもまぁ、お菓子の虜になんて子供は誰でもなるしさ。そうなったら、魂ではないけど歯はすり減ってくし、魂がお菓子に寄って行くだけ、両親から心は離れていくんじゃないかなって思ったの

座布団一枚!!

息子

ママ、やっぱりガチャガチャだけやらせて!!

……この歌詞の続きは?

赤ずきん

しいて言うならば、”解せぬ”かな!

29・再来! スーパー駄々っ子

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