数年後
数年後
今日は卒業式だった。
私、赤沢菜月の。
卒業おめでとう、赤沢さん
すみません、来てもらって
あの後、精神治療を受けてしばらく療養をしていたせいで薫の留年が決まっていた。
体の方はもう大丈夫なんですか
うん、もう復学してもいい頃らしいよ
久しぶりに会った薫、その出会った時と変わらない口調に安心する。
やっぱりメガネかけていたほうがカッコイイと思います。
そ、そう
彼の初々しい表情を見て安心する。
あの、あのことはもう大丈夫ですか。
まぁ、佐々木さんたちのおかげで何とか向き合っていけそうだよ。
犯した罪、彼に降りかかる事情を知らない非難。そんな辛いことと戦っている表情を見せなかった。
それに佐々木さんには感謝しているよ。
あの人がいるから僕はいられるんだ。
すごいですね、あの刑事さん
何度でもやり直せる。
その言葉に救われた人間の一人に彼もなった。
やり直せます。大丈夫ですよだってあなたはヒーローですから
面と向かって言われるとはずかしいなぁ
薫は自分のことをきちんと見てくれる存在を認識した。
それが過去の自分にできる復讐の形だった。