光を求めた。音のないくらい世界に閉じ込められた感覚だった。

誰かの声が聞こえた。

「あなたは・・・ヒーロー・・杉本薫・・・君です」

聞いたことのある声、僕を認めてくれる人。

僕の願い、誰か大切な人のヒーローになることそれをどんな形であれ叶えてくれた存在。

彼女の声で闇が引き裂かれた。
僕を救い出してくれる救いの光に手を伸ばした。

坂本真冬は病室で目を覚ました。

まさか医者の私が病院のベッドに寝る日が来るなんてね

生きながらえたことを悔やむ。
飛行機の飛ぶ音が聞こえてくる。

ふと横の机を見ると一冊のファイルとメモ用紙が置いてあった。

おそらく私の死を邪魔したあの刑事だろう。

手紙
「あなたの研究ファイルを読ませていただきました。悔しいですけどあなたの技術・腕は医療の世界になくてはいけないものであることを実感させるレポートばかりです。刑事としてあなたに共感はしません。あなたが命を絶つことで失われる命があっては自分の心にシミが残ると思ったまでのことです。だからこそ自分はあなたの他人を救いたいと願う、その一点を認めます。許すわけではないことをご了承してください」

私を認めるか。そう

「認める」その一言で救われた気分になった。
借りを作るの上手い刑事の顔を思い浮かべると笑えてくる。

そして、可笑しくなって、笑い出した。
しばらく笑って、笑って、笑い続けて、涙もこぼれてきた。

こんなにも喜怒哀楽の感情を表に出したのはいつ以来かを考えながら、笑い続けた。
泣きながら笑い続けた。

あれ、集合に遅れるなんて珍しいじゃない宮本君

突然予定が入ったんです。そう突っかからないでください

そして二人の刑事は今日も事件の捜査に駆り出される。

これどう思うよ、ねぇ榛名ちゃん

また私ですか、そうですねぇ・・・

また困らせてる。いい加減相棒の自分を頼ってもいいじゃないですか

だって君すぐ貸し借りの話にするから、それに男とか誰得

もう聞き飽きましたから。とっとと仕事に戻りますよ。

それと、あなたも無視してかまいませんから。この人。自分が何とかするんで

は、はぁ

事件が始まり、次の事件が起こる。そのたびに同じ掛け合いをする日々が戻ってきたのである。

俺にできることはこれくらいさ、すまないな直哉

過去の事件に決着をつけた。
そう考えることにした。

命を落とした者、過去に縛られることで歩みを止めていたことに自分も気づかされた。

それが指導する大人としての立場ではないかと佐々木は考えていた。

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