帰宅し、部屋に戻ると、俺はふと麗花に言われたことが脳裏をよぎった。

本当の……桜子…

 俺は部屋を見渡す。

 部屋からは特に異常を感じない。

 桜子は両親にすごく大切にされているみたいだし、机の上には友達との写真が飾られていて、その中の桜子は楽しそうにキラキラした笑顔をしていた。

 俺は部屋の中を少し歩いてみる。

歩いたところで、特に何かあるわけじゃないけど……

わわっ!!

いててて……

 俺はいい年して、床に転がっていたティッシュ箱に躓きうつ伏せになって転んだ。

なんでこんなところに…って、まぁ全部床に置きっぱなしにする俺が悪いんだが……

……ん?

 倒れ、たまたまベッドの下を覗き込む姿勢になった俺は、あるものがあることに気付く。

なんだろ、あれ…?

 気になって俺はベッドの下からそれを取り出した。

…箱?

 それも随分大きい段ボール箱だった。

 持ち上げて見るとそこそこ重たい。

開けるのは気が引けるけど――

 ――少しでも、桜子に近づけるなら。

ごめんっ!!

 俺は段ボール箱を開けると――。

これはっ――

 俺はすべて中身に目を通すと、またさっきのように元に戻し、ベッドの下にしまった。

…意地でも会ってみせるぞ、桜子

 夕食の支度ができたと階下から母親の声が聞こえる。

 俺は返事をして、部屋を出て行った。

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