ボクの名前は雨降り小僧
ねぇねぇ、ボクの話聞いてる?
もちろん、聞いてるよ!
ホントに?じゃあさっきボクがなんの話してたか言ってよ
暇だから街に行って人間を脅かそうとか?
い、言ってないよそんなこと!
あれー?そうだっけ?
もーぜんぜんボクの話聞いてないじゃん
ボクの名前は雨降り小僧
お友達の天邪鬼くんとこの森で暮らしている
ボクはふつうの妖怪じゃない
ボクはもともと人間だった
あれ?ここどこだろ……
おぉやっと起きたか
うわぁ!!!
……
そんなに怖がらなくても……
ご、ごめんなさい
でもちょっとコワい……
……まぁそのうち慣れるだろう
さて、ボウズ
ここがどこだかわかるかい?
えっ?わかんない……です
ふむ
じゃあなぜここにいるかもわからないということだな
うん
そうか
なら順番に説明していこう
まずここの場所についてだが……
ここは人間の世界と妖怪の世界の真ん中に位置する場所だ
人間の世界を選ぶなら、自分の持っている力を生かして、時には人間に悪さをしながら暮らしていく
妖怪の世界を選ぶなら、妖怪同士仲良く規律を守って暮らしていかなければならない
ボウズはこれからどちらで暮らしていくか決めることになる
……よくわかんない
……
簡単に言うとだな
これからボウズは人間のいる世界で暮らすのか、妖怪だけの世界で暮らすのか選ぶんだよ
ボクは人間だよ?
お父さんとお母さんとお姉ちゃんと一緒に暮らしてるよ?
なんと……!
ボウズ自分が人間だと言うのか
そうだけど……
……自分の姿をよく見てみなさい
えー?
うわっ!頭に乗ってるのなに?!
いまさら気が付いたか
わしが思うにボウズは雨降り小僧という妖怪だと思うが……
あめふりこぞう?
傘を被って提灯を持っているのが特徴だ
ボウズは雨を降らせる妖怪だよ
ボクは妖怪になったの?
そういうことだ
妖怪の中にもいわゆる前世の記憶を持っている者もいると聞いたことがあるが……
まさかこんな小さなボウズがその妖怪だとはな
ボウズはもともと人間だったんだな?
うん
……お母さんに会いたい
お母さんとお父さんとお姉ちゃんに会いたい!!!
……
……なら人間の世界に行くといい
多分ボウズの家族にはお前さんの姿は見えないかもしれんが、会いたいのなら会いに行きなさい
……うん、会いに行く
ただし一度人間の世界と決めたらもう変えることはできないからな
ボウズは人間の世界で妖怪として生きていくんだぞ
うん!
ボクがんばる!
では、この先にある扉に行きなさい
そこに人間の世界に案内してくれるやつがいるはずだから、声を掛けなさい
うん、わかった
元気でな
ありがとう、おじちゃん!
おじちゃん……