♪あめあめ ふれふれ かあさんが
♪あめあめ ふれふれ かあさんが
弟が逝った
雨が大好きなあの子が
♪ピッチピッチ チャップチャップ ランランラン
大好きな雨に打たれて逝った
私があの時ちゃんと見ていれば!!!
そうやっていつもお母さんは自分を責め続けている
弟の“雫(しずく)”は雨の日が大好きだった
雫が生まれる少し前、私たちが住んでいる地域は
雨が全く降らず水不足とニュースになるまでだった
しかし雫が生まれた日、久しぶりにたくさんの雨が降った
当時8歳だった私は……
弟が生まれたから雨が降ったんだね!すごーい!!
そう言った……らしい
正直あまり覚えていない
お父さんとお母さんは私の言葉を聞いて
弟に雫と名付けた
雫は自分の名前の意味を理解する前から
雨が大好きだった
お母さんが買ってきた黄色のカッパが大好きで
雨が降るたびに外に遊びに行っていた
おかあさん、みて!みずたまり!
雫は雨が本当に大好きなのね
うん!
だっておそらからおみずがおちてくるんだよ!
すごーい!
うふふ、そうね
すごいわよね
でも、風邪引くと悪いからそろそろお家に帰りましょう
えーやだー!
もっとあそぶの!!
そう言っていつもお母さんを困らせていた
そんなある日、雫は1人で遊びに行った
いつもはお母さんと一緒なのに
突然の雨だった
それに気づいた雫はいつものように
黄色のカッパを着て遊びに行った
そして――
雫は6歳でこの世を去った