蔵前

夏休みが終わって涼しくなってきましたけど、まだ若干暑いですね

筑波

そろそろ残暑とかやめて欲しいけどな

我孫子

で、暑いのが何か?冷房の温度下げる?

蔵前

いえ、夏のなごりが有るうちに、みんなで怖い話を出来たらなって

談合坂

怖い話かぁ。夏の定番だけど、そう言えばやってなかったね

神立

でも、だれか怖い話の持ちネタ有る?

佐貫

高校の時に聞いた怖い話が有りますけど

蔵前

あ、私も高校の時に聞いた怖い話が有ります

談合坂

あれ?でも、それだと僕以外は全員知ってる話じゃないの?

筑波

どうなんでしょう?少なくとも俺は聞いたこと無いです

神立

私も聞いたこと無いわね

談合坂

我孫子も聞いたこと無い?

我孫子

無いですね

談合坂

それじゃあ、ふたりから怖い話、聞いてみようか

佐貫

どっちから話しますか?

神立

じゃあ、蔵前さんの話から聞こうかしら

蔵前

はい。私が聞いたことの有るのは、『生物室に住む魔物』って話なんですけど

蔵前

私が高校の時、同じ部活の子から聞いた話なんですけど、生物室には魔物が住んでるって言う噂があったんです

蔵前

どんな魔物かというと、音楽部の練習が終わった後に生物室の前を通りかかると、歌声が聞こえるんだそうで

蔵前

その歌声は男とも女とも付かないきれいな声で、聞いた人の気を触れさせるという噂でした

蔵前

私は実際には聞いたことは無いのですが、実際にその歌を聞いた人も居るみたいで、まことしやかにそんな噂が囁かれていました

談合坂

えー、それ、生物室の話なの?

蔵前

そうです

談合坂

そう言う話って、普通は音楽室の仕事だよね?なんで生物室なんだろう

蔵前

それが不思議なんですよね。
佐貫はこの話聞いたこと無い?

佐貫

いや……聞いたこと無いも何も、それうちの先輩の話だから

蔵前

え?

佐貫

うちの先輩

神立

ああ、うん。蔵前さんも会ったこと有るわよ

蔵前

えっ?もしかしてあの人?

筑波

あー、うん。うちのクラスの担任が、たまに引き込もうとしてたな

談合坂

え?ちょっと待って。どんな子だったの?

我孫子

確証は無いのですが、おそらくソプラニータと呼ばれる希有な例で、第二次成長期後もボーイソプラノを保っているって言う人だったんですよね

筑波

それで、滅多にそんな人材が居ないから、担任がこう

談合坂

なんだろう、その状況がこわい

我孫子

蔵前の話が別の意味でこわい話だったと言うのがわかったところで、佐貫の話も聞こうか

佐貫

はい。俺が聞いたのは『演劇部で興った新興宗教』って話なんですけど

佐貫

普通文化部って何処かの教室を部室として使ってるんですけど、演劇部だけは教室では無い個別の部室があったんです

佐貫

なんですけど、専用の部室が有ると言う閉鎖性からか、演劇部の中で何かよくわからない物を祭り上げるようになったそうなんです

佐貫

一体何を祀っているのか、ご神体はあったのか、それはわからないのですが、演劇部の部員は口々にこう言うそうです

佐貫

『市民、幸福は義務です。あなたは幸福ですか?』

佐貫

もし不幸せそうな顔をしている人が居ると、その人は『反逆者』として処理をされる。そんな話でした

談合坂

幸福は義務かぁ。なんかこわいけど、蔵前はこの話知ってた?

蔵前

知ってますよ。実際に『幸福は義務です』って言ってる先輩居ましたし

神立

え?もしかして本当に何か祀ってたの?

蔵前

いえ、『幸福は義務』って言うのは、とあるゲームの定型文なんです。
そのゲームが大好きな先輩が居たので、それで勘違いされたんでしょうね

我孫子

つまり、そんな噂が流れるほど自重せずにそのネタを使っていたと

蔵前

そうなります

談合坂

うわぁ、自重してない姿を見られて噂になるとか、こわいすぎる

筑波

取り敢えず、怖い話のこわい真相がここで明らかになったな

佐貫

案外当事者って、噂に気づかなかったりするもんなんですね

蔵前

ねー

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