仄暗い遺跡の中は奥に進むにつれて狭くなり、僕は次第に息苦しさを覚えるようになった。

マティアス

行き止まりなのかな・・・

それでもなお覚悟を決めて進んでいくと、やがて一筋の光がトンネルの先から覗いていることに気がついた。

僕はその光に向かって、まるで羽虫が火に吸い寄せられるようにふらふらと進んでいった。

マティアス

もう少しで外に出られるはず・・・

そしてトンネルを出た先で、僕は驚きのあまり呆然と立ちすくんだ・・・。

マティアス

こ、ここは・・・

そこには、うっそうと生い茂る森があった。
それは、夢で見た景色そのものだった。

マティアス

どういうことだ・・・

何度となく夢で見た見知らぬ森。
それが今日、目の前に広がっているのだ!

マティアス

僕は・・・夢を見ているのか?

けれども、今日見ている景色は夢でなかった。森の中を吹き抜ける風の感触や木々のざわめきまで、はっきり感じられるのだ。

僕はその光景に言いようのない恐怖を感じた。かといって今来たトンネルを引き返す勇気もなかった。

僕は仕方なく迷子の子供が来た道を探すように
きょろきょろしながら森の中をゆっくり進んでいった。

そして――
森の外れで見たのだ!

あの白くそびえる塔を――

マティアス

ほ、本当にあったんだ・・・

夢の中と寸分違わず、その白い尖塔は青い空に突き刺さるように建っていた。

王のいる都ならまだしも、こんな辺境の村に、これほど高い塔を建てる技術も、またその必要性も全くない――。

一体誰がどんな目的でこんな天にも届きそうな塔を建てたのだろうか・・・?

同時に僕は、疑問――というよりかは嫌な予感が頭をかすめた・・・。

マティアス

あの塔があるならもしかして・・・

僕は湧き上がる不安を必死に押し殺して、塔に向かってまっすぐ進んでいった。そして――

あの朽ち果てた階段を見つけた。

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