幼い頃から何度も繰り返し見ている夢がある・・・。

何処か見知らぬ森の中を一人彷徨い・・・

やがて日の当たる草原に出る。

するとそこには見たこともないような白い尖塔がそびえていて・・・

僕はそこに引き寄せられるように歩いていく・・・。

すると塔へと続く朽ち果てた階段を見つける・・・。

階段の前で登ろうか止めようかと悩んでいるところで、いつも夢から覚めてしまうのだ。

マティアス!!クロエがお待ちかねよ!!

マティアス

はいはい!今行きますよっ!!

マティアス

おはよう!クロエ!ほら朝飯だよ

クロエ

ミャーッ!

とはいえ、いくら気になる夢といえども、目が覚めたら日常の雑事に忙殺されてしまう。

占い師に夢の解釈を相談する程、僕の家にゆとりはないのだ!

クロエに餌をやって、あんたもご飯食べたらエリックさんとこに納品に行って!

マティアス

えっ、今日は納品日だっけ?

そうよ!もう忘れたの?

陶芸家の母は足が悪く、あまり遠くまで歩くことはできない。

そうでなくても人気作家の母には、あちこちから注文が舞い込むのだ。

自ずと完成品の納品や集金は僕の仕事になる。

マティアス

分かったよ!ご飯食べたら行ってくるよ!

エリックさんの家は、山を二つ越えたマロースの村にある、行って戻ったら一日が終わってしまう・・・。

母の作品を楽しみにしてくれるお客さんなので、仕方がないことだけど・・・。

そんな訳で僕は手早く朝食を済ませると、エリックさんのいるマロースの村へ向かった!

マロースの村までは村の農場を通って行くのが近道だ。

日が暮れる前に戻れるように僕は道を急いだ!

越えなければならない山も道はしっかり整備されているので、日が沈む前に戻ればどうということはない。

マティアス

そうだ!せっかくだから母さんに何か買って帰ろうか・・

マティアス

スティックパイとかいいかなぁ・・・

僕がそんなことを考えながら道を歩いていたそのとき・・・

マティアス

な、何だ!?

突如、大地が地鳴りとともに激しく揺れ、僕は近くの木々に必死にしがみついた!!

マティアス

ど、どうなっているんだ!!

見れば、足元に地割れができ、近くの崖が崩れたようで轟音が周囲に響き渡った。

マティアス

な、何とか収まったようだ・・・

ようやく地震が収まったので、僕は恐る恐る近くの崖に寄ってみた。すると、とんでもない光景が目に入った!!

マティアス

こ、これは・・・

崩れた崖の奥から、古代遺跡の入り口が姿を現したのだ!!

マティアス

だ、大発見だ!!

まだ余震の可能性があるし、納品も済んではいない。だが、失われた古代遺跡の発見は、僕の好奇心を大いに刺激した。

マティアス

中はどうなっているんだろう・・・

マティアス

す、少しだけならいいか・・・

ほんの少しだけ、中に入ってみることにした・・・。

pagetop