ノースポール城は崩壊した
ノースポール城は崩壊した
………おかえりなさい
………ただいま
フレイヤちゃーん!!
マリアちゃん?
待っていてくれたの?
2人……ですか
ステラはギルドに戻ったよ。放置しているエースが気になるって、
その……
約束通り帰って来たよ
フレイヤと2人で………ね
絶対に、泣かないつもりだった……
だけど、
ずっと一緒だった「彼」がいない。
「闇の盾」と「光の剣」は
ずっと一緒だった。
その片割れは、
もう、いない……
そう、思うと涙が止まらなかった
これで、終わったんだよね、
もう、苦しまなくて良いんだよね、
我が主………
そうだなぁ
泣くのは、ここだけにしてくださいね
………うん
気付いたら、
フレイヤとマリアの姿はなかった。
私は、カリスの前で思い切り泣いていた。
そして………
日常がはじまる
リアンが冒険者ギルドに行く必要はありませんね
え?
ペペロがいなければ魔法もろくに使えませんでしたよね。他の方の迷惑になります。
そんなに足手まとい?
オレがリアンを冒険者ギルドに入れた理由は覚えていますか?
私がお願いしたから?
世間知らずがすぎるからですよ。社会勉強の為に入れただけです。
えー……
人間ではなかったのですから、無理もありませんね
ごめんね……「光の剣」だってこと黙っていて。本当は怒ってるでしょ
怒っていませんよ。オレだって勇者の転生者だってこと黙っていましたからね。
初めて会った時のこと、覚えてる?
はい。オレたちは、お互いに秘密を抱えていることを告げて、その上で友達になりましたね。
私が言えなかった秘密。
私が「光の剣」ってこと。名前は「光の剣」だってこと。
オレの言えなかった秘密。
オレが勇者の転生者であること。
やっと、スッキリした
オレはまだありますよ秘密
「ドクロ」は「カリス」ってこと?
まだ、リアンに伝えていない秘密があるってことですよ
………え?
………って、どうして泣きそうな顔をするのですか?
隠し事って?
引っ越しが終わったら教えますよ
引っ越し………そうだった、カリスは教会から出ていくのよね。寂しくなるなぁ……
何言っているのですか? リアンもですよ。神父様の許可は得ていますし、まさか……聞いていないのですか?
………?
ここは手狭になるので、オレとリアンで暮らすのだと………えっと……
リアン? その手に持っている本は誰から借りたのですか
えー、シスターだよ
「シスターにはナイショ★神父の秘密の恋愛事情」って、なんですかこの破廉恥な本は。突然独り暮らしを始めた神父、夜な夜な男同士で………
妙な本を読ませやがって
カリス?
教会で暮らすのと何も変わりません。オレ以外の男は……百歩譲って神父様ぐらいしか入れない家ですよ。
ほら、今まで通りです。
うん
結局、カリスが私に秘密にしていることって何だったんだろ
あれ? 私とカリス以外が入れない家って………………うーん……何か引っかかるけど
まぁ、カリスが大丈夫って言うんだから。大丈夫だよね。
リアンは悪い奴に騙されそうだから、心配だよ
そんなことないよ
そんなことある!
リアンは世間知らずだからさ
ちゃんと勉強はしているのよ
で、その本どうしたの………男の騙し方事典?
裏通りのお姉さんに貰ったの。女を磨くための専門書だって
た、たぶん……もう少し……大人になってから読んだ方が良いと思うよ
そっか、カリスが言うのならそうする
よくわからないけど、よくない本だよな………後で燃やそう
カリスの言う事って間違いはないものね。
当然だよ
これで、良かったんだよね。
我が主!
お前が勇者の転生者のもとに辿り着いたのは、もはや運命としか言えない
それは仕方ないよ。
もともと「光の剣」は主が魂を込めて打ったのよ。私の中に主の魂はあったの。
私の中に込められた主の魂までは禁呪でも消せなかったのね。
…………そうだな。だが、それも今日まではお前の中の俺の魂は、消える
………気配が消えた
………ありがとう。我が主。
彼と出会わせてくれて。
to be continued