当時、実家の母の仕事を手伝い、絵画の制作を一旦止めて夫(画家)を養いつつ暮らしていた。
そうして3年が経とうとしていた頃、日に日に制作への想いが募りはじめたものの、仕事を止めるわけにもいかず、悩んでいたある日。
はじまりは8年前……。
いろんな出来事が重なった年でした。
当時、実家の母の仕事を手伝い、絵画の制作を一旦止めて夫(画家)を養いつつ暮らしていた。
そうして3年が経とうとしていた頃、日に日に制作への想いが募りはじめたものの、仕事を止めるわけにもいかず、悩んでいたある日。
出勤の電車の中で外を眺めていた時、バッグを持つ自分の手に何かが落ちた。
なんだこれ? と、思ったのもつかの間。 自分でも驚くほどに涙が溢れ出しましてね、慌ててハンカチで顔を覆って、目的地の駅までうつむいたままで、誰かに気付かれないかと思ってビクビクしながらの時間は長く感じました。
5月に流産し、情緒不安定だったこともあると思う。 電車に乗り込むと涙が止まらなくなったのは流産してから2か月と少し経った頃だった。
涙は職場でも出るようになり、自分に起きている異変を実感しはじめ、伴侶と話し合った結果、とにかく仕事を辞めることに決めた。
ストレスは思った以上の速さで積もり積もっていった。
一日の仕事をなんとか終え、雇い主でもある母の帰りを待つ時間は、胃がねじれて頭が重かった。 自分が担当していた事務仕事は一人で行っていたため、辞めるとなると迷惑が掛かることは分かっていた。
それでも、心の悲鳴に無視できない状態になっていたのだ。
……胃が痛い……。 早く帰ってきはらへんかなぁ~……。
ただいま~。 お疲れさま~。
お、お疲れさまです。 今日の分の書類は机に置いておきました。 後で目を通しておいてください。
気をしっかり持て~! ……今日、言わないと……いつまでもズルズル続けられないんやから……。
……あの、話しがあるんやけど今いいですか?
話し? ちょっとくらいだったらいいけど?
……あ、あの…… こ、今月で、仕事を辞めたいんやけど……
!!!!!!!!!!
母は持っていた書類ファイルを机に叩きつけ始めた
どうして言う事を聞かないのよ! 言われた通りにしてりゃいいのにっ! 馬鹿ばっかりっ!
母は持っていた書類ファイルを壊し、わたしに向かって投げつけてきた。
この瞬間に、わたしの精神は
ふたつに引き裂かれた。
……!! ……!! ……!!
ひとりのわたしは壁に腕を何度も何度も打ち付けながら叫び出し、もうひとりのわたしがその様子を冷静に見ながら「腕なんて折れてしまえばいい」と思っていた。
右手を強く強く壁に叩きつけ、泣き崩れたわたしに冷静なわたしが精神の糸がぷつりと切れてしまいそうになるのを制御するように「たくさん泣けばいい」と言った。
キチガイみたいね。 馬鹿じゃないの? 大声出して、恥ずかしい。
……くっ……。 うぅぅう……。
泣き崩れたわたしを見下ろす母の言葉は冷たかった。 これが自分の母親なのだろうかと冷静なわたしはため息を吐いた。
一週間の休みをあげるから、今日のコトは無かったことにしましょう。
わたしは少しばかり放心した状態で帰路へ着き、伴侶の前で再び号泣し、次の日には伴侶の判断で神経科医院へ行くことになった。