・・・・・・

おい!目覚めたぞ!

400年ぶりらしいぞ!

僕は目覚めると、檻にいて、見世物にされていた。

えっと・・どうなっているんだ?

いくら考えても、檻に入れられて見世物にされているこの状況を理解できなかった。

・・・っていうか理解できるか!

僕は落ち着いて周りを見渡した。何の変哲もない檻だ。檻の中の檻だ。

あるのはイスとトイレと鏡だけだ

・・・誰だこいつは

鏡の中にいたのは全く知らない男だった。

別に今までの自分の姿が好きだったわけではないが急に変わると驚くし、落ち着かない。


変わってもイケメンになってた~というわけでもなく、中肉中背、顔も普通、強いて変わっている箇所を挙げるとするならば八重歯が長い程度である。

おはようございます。気分はどうですか?

檻に近づいてきた男は単調に話しかけてきた

お前は誰だ?そしてここはどこだ?さらに今はどうゆう状況だ?

質問が多いですね~・・・まぁいいでしょう。ここは吸血園。世間一般的には動物園という感じですかね~

ツッコんでいいか?

受け付けません。

なんでだよ。僕はとりあえず心の中でツッコんだ。

あなたはここ吸血園一番の見世物、吸血鬼として存在しています。

・・・・・

だから周りの人たちは僕が目覚めて騒いでたのか

たしか400年ぶりの目覚めらしいな・・・


長すぎだろ

最後に、私の名前は古賀と申します。あなたの飼育員を務めさせていただきます。以後お見知りおきを。

終わりだよな?

はい、あなたの質問全てにお答えしました。

今から僕は叫ぶ。
長文になるが覚悟しろよ。

そこのあなたも覚悟してほしい。

誰に言ってるんですか・・・・

わけわからん!

第一に僕は人間だ!名前は加藤正明!断じて吸血鬼なんかではない!普通に学校に通う高校生だ!明日の修学旅行楽しみだな~おやすみママン・・・・吸血鬼で~す。どんな悪夢だよ!修学旅行先が動物園になったことも知らねーし、ましてや檻に入るなんて修学旅行のしおりには書いてなかったよ!ていうかしおり作ったのは僕だよ!しおり作成チーム発足の時に我先にと立候補したよ!それぐらい修学旅行楽しみだったんだよこの野郎!ありえるか?前世の記憶が鮮明に残った吸血鬼なんて!死んだ記憶もねぇよ!そんなら前世の記憶も消しといてくれよ神様ぁぁ!

はぁはぁ・・・・

言い切ったぞ。皆も読み飛ばさずにぜひ僕の思いを読んでほしい。感動のあまり続きが読めなくなるかもしれないが仕方のない。僕は許そう。

ママンとはどなたですか?

お母さんだよ!

問題点はそこじゃねぇ!

なんと人をイラつかせる男だ、この古賀という男は

わざとか?煽ってるのか?

ぷっ・・・(笑)
まぁ・・あなたの前世が人間だったとか、修学旅行が楽しみだったとかどうでもいいんですよ。

わざとだ。絶対煽ってる。

殺そう、血を吸おう、吸血鬼だけに。

この経営難になっている吸血園を繁盛させるために馬車馬のように働けばいいんだよ。
understand?

NO!

さすが僕、英検三級の腕は落ちていない。

すがすがしいNOだ。

まったく、最近はNOと言えない若者が増えたらしいがそんなことはない。僕のような人間もいるのだ。


まぁ、今は若者でも人間でもないらしいが・・・

拒否権などない。

ブラックじゃねーか!

さぁ、火の輪をくぐれ、ナイフを飲み込め、客が魅入る芸をしろ。

ひいぃ!

ちなみにここではお前の名前はポチだ。吸血鬼だけにな。

何にかけたんだよ!

こうして吸血園での生活がはじまった。

吸血鬼、ポチとして・・・





もっとましな名前がよかった

1話・死んだ記憶はない

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