いらっしゃいませー

 あれから俺は、赤ずきんに少しでも近づこうと、スーパー赤ずきんの従業員になっていた。

バイト君

店長、どうしてアイツを雇ったりなんかしたんですか。お客さんが怯えて来なくなっちゃいますよ?

店長

うーん。まぁ、悪い子じゃなさそうだったから

赤ずきん

狼さん、これからよろしくね

お! おう……

 人と関わることをなるべく避けて来た俺だったが、彼女にどうしても近づきたく、レジの仕事を選んだ。

 レジは色々と大変だったが、この業務を選んで正解だったと思う。何せ、彼女に何度も話しかけてもらえるから!

赤ずきん

……は、はい

 あれ? 普段は笑顔の彼女の表情が曇った。

 どうしてそんな顔をするのか気になって様子を見ていると、お客様がマスクをしており、何を喋っているのか聞き取れていない様子だった。俺は耳が良いからよく聞こえるけど……教えてあげたいな。

赤ずきん

……あ、あの……

 聞こえませんでしたと言うのか。それとも、もう一度お願い致しますと言うのか。はたまた聞き流すのか?

赤ずきん

よく聞こえなかったので、狼さんに聞いて来ますね!! 

はい!?

 ……それは余計に失礼な気が。

2・土足で! スーパー正直

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