のぞみ

おじさんたち誰?

 のぞみが振り返ると、背の高い男が三人立っていた。一人はメガネをかけた男、一人は常に笑顔を崩さない男、もう一人はガタイの良い大男だ。

笑顔の男

なぁ、兄貴ぃ。金、取らないんでぃ?

メガネの兄貴

こんな小娘からは流石に取れないだろう。大丈夫? 寒くない?

大男

兄貴、素が出てます

益荒男

オイ、兄ちゃん等(ら)、ソイツ返してもらって良いかな

良太郎

の、のぞみが……

益荒男

コイツの大事な女なんでさ

メガネの兄貴

……怪しいな。特にあのリーゼント。変態オーラが滲み出ている

良太郎

俺っ!?

笑顔の男

兄貴、シメときますか

良太郎

俺変態じゃないよ

メガネの兄貴

だな。アイツ等にこの子は渡せない

良太郎

変態じゃないからね、俺

笑顔の男

んじゃ早速

  笑顔の男が鉄拳を良太郎へと向けようとする。

 しかし、その間に益荒男が割って入ると、片手一つで男の拳を受け止めた。

笑顔の男

な、片手で……!?

メガネの兄貴

やっぱりそうか……

笑顔の男

やっぱり!? 兄貴知ってて俺にやらせたんですか!? 俺超恥ずかしい!!

大男

……

笑顔の男

ってかお前も見てんじゃねぇよ!!

メガネの兄貴

ヤンキー集会で噂はかねがね聞いていたよ……益荒男(ますらお)

益荒男

……

笑顔の男

うわっ、明らかに強そうな名前じゃないですか!

良太郎

あの、俺本当にのぞみのこと純粋に愛しているだけなので……

 と言いつつ、いつの間にか隣にのぞみをつれている良太郎。

のぞみ

にこっ

笑顔の男

お前も何気にすげぇな!!

メガネの兄貴

……ふっ

メガネの兄貴

リーゼントが色々と不安だが

良太郎

え、俺のリーゼント?

メガネの兄貴

まぁ、大丈夫だろう。今日はクリスマスイブだしな……つってももう日を跨ぐけど

メガネの兄貴

小娘にサンタさんからプレゼントが来ると良いな

良太郎

益荒男

お前、実はすごい面倒見が良いんじゃ……!

メガネの兄貴

いや、それは無い

良太郎

やっぱりすごく面倒見が良いんだよ

メガネの兄貴

無いつってんだろ、髪引きちぎるぞ

―アッポーホテル廊下―

良太郎

なんか良い奴だったなー

益荒男

だな

良太郎

そうそう

良太郎

のぞみ、こんなちっちゃいので申し訳ないけど、コレをプレゼントだと思ってほしい

のぞみ

……でものぞみ、サンタさんなのに何も

良太郎

のぞみ、俺にとっては、のぞみの笑顔が一番の宝物なんだよ。だから、のぞみには嬉しい時には素直に喜んでいて欲しいな

のぞみ

……

のぞみ

りょーたろー!!

益荒男

……普通に仲の良い兄弟に見えるわ

Merry Xmas!!

〈脚本・監修〉橋本ピッツァ(敬称略)

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