これはとあるアイドル事務所に所属したばかりの、少女たちの物語。
アイドルにつながっていく少女たちの物語。
今日も楽しくふふふ~ん♪ ふふふーんっ♪ 全然歌詞おもいつかん~♪ ふふ~ん♪
彼女の名前は、柚木ミユ。
関西出身のロシア系ハーフ美少女なのだが、中身はゆるーい性格の新人アイドルである。
ミユはいつも通りのご機嫌で、所属するアイドル事務所のドアを開こうとした。
お誕生日おめでとうございます、プロデューサーさん!
事務所ナビゲーター・佐倉まひろさんのはつらつとした声が中から聞こえてきて、ミユの動きが止まる。
ん? 聞き逃せない単語や…
中に入らず、とっさにドアへとぴたっと耳をくっつけていた。
えっ? どうして知ってるんですか?
プロデューサーの驚いた声も届く。
むむむむむ……?
ふふ、だいぶ前、お話をしている時に言ってましたよ。これ、ささやかですがプレゼントです
お、おぉ、プレゼントまで!? あ、ありがとうございます!
大切にしてあげてくださいね♪
は、はい、もちろん! まさかまひろさんからプレゼントもらえるなんてなぁ…
なんや、プロデューサー誕生日なんや、言わへんなんて水くさいな-、でも知ってもーたー、ふふふ
ふふふ、ちなみにおいくつになったんですか?
はは、50歳です。もういい年でしょう?
なっ……
ドアの向こうから聞こえてきた会話に、ミユは衝撃を受けていた。
と、とんでもない情報や……あ、あかん、こんなことしてる場合やない
ミユは急ぎ足で、その場を後にした。
***
***
――事務所の近くにあるカフェ。
端末でメニューを頼むシステムになっているそこに、事務所のアイドル全員が集まっていた。
事務所の前で待ち構えていたミユに事情を聞き、連れてこられたかたちだ。
この留奈が知らないだなんて。不覚だったわ……
彼女は、火ノ前留奈。
強気のアイドルで、事務所の誰よりもプロ意識が高い女の子である。
自分にも他人にも厳しいが、アイドルオタクがすぎて暴走しがちなところもある。
は、はい。今日がプロデューサーの誕生日だなんて、知りませんでした
彼女は、春宮空子。
とても善良な性格をしていて、色んな人に優しさを振りまいているので、事務所のメンバーにもよく慕われている。
そっかぁ…急ぎになっちゃうけど、私たちからもプロさんに何か贈りたいねぇ?
高花ひかり。
元気で明るく、優等生でありながら人柄の良さで周囲に好かれるタイプの女の子だ。
寂しんぼすぎる一面もある。
50歳はちょっとおもろすぎるな。衝撃やったわ…
ま、まあ、そうだね。全然見えないよね……びっくり。でも若く見えるっていうのはイイコトだもんね
ひとをみかけではんだんしては、いけません
そのとしでプロデューサーは、まいにちはしりまわっているのです
ねんれいをかんがえると、とてもおつかれだとおもいます。ビタミンBのあるたべものをとらないと…
彼女は、古風楓。
事務所最年少の、中学二年生のアイドルである。
13歳でありながら、事務所で一番落ち着いた雰囲気をかもしている、人のお世話が大好きな少女だ。
かえちゃんやさしい……ああん、かわいいむぎゅー
かわいいことは言っていませんが
ちなみに、ひかりは楓が大好きすぎて、いつも抱きしめにかかっている。
そうだね、うん。プロデューサーに日ごろの感謝の気持ちを伝えられたら…私も嬉しい
控えめな声ながら力づよく言ってきたのは、瀬月唯。
ボーイッシュな見た目ではあるが、中身は女の子らしい性格である。
生真面目で深く悩みすぎてしまうところもある。
くたくたー。プロデューサー、何をプレゼントしたら喜んでくれるかなぁ?
羽田千乃が言ってくる。
マイペースな女の子で、面白そうだからという理由でアイドルをはじめた自由人である。
多才な趣味のほか、芸術方面の才能に特化しており、いつもお絵かきばかりしている。
プ、プロデューサーさんの好きなものが分かりません……はうぅ……!
すでに泣きそうな顔になっている、坂上八葉。
気弱で泣き虫な女の子だ。
楓と同じく中学生組で、14歳の中学三年生だ。自分を鍛えるためにいつも走り込みをしている、人並み外れた頑張り屋さんである。
はいはいはーい! 新作のゲームなどどうでしょう!?
目を輝かせた泉水つかさが、手を挙げた。
事務所最年長の17歳だが、田舎から上京してきたばかりの箱入り娘で、誰よりも都会慣れしていない。
自分の知らないものにはすぐ夢中になってしまう、とてもアクティブで好奇心旺盛な女の子である。
空子、唯、千乃が、ユニット『メモリア』
留奈、ひかり、楓が、ユニット『GARNET PARTY』
ミユ、つかさ、八葉が、ユニット『ナチュライク!』
――合計9人。
これが、この小さなアイドル事務所のメンバー全員。
それぞれが別のユニットに参加しているものの、全員年齢が近く、まだ駆け出しということも共通している。
まだまだこれからの、ただの女の子たち。
ゲーム…良いと思うけど、プロデューサーはそこまでゲームやらないわよね
では、北陸の食べ物の詰め合わせを!
本、とか…? なんだろう、そういえばプロデューサーの好きなモノ、全然分からない
えへ。気持ちをこもったプレゼントにしたいですね。便利なものも良いですけど、思い出に残るものもあげられたら
そーやでー、こういうのは気持ちやねん。便利なものは全員で贈るとして…自分からは…この宝物!
ミユが得意げな表情になって、カフェのテーブルに取り出して見せたのは。
何これ、ただの石?
ぽかんとした表情で、留奈が言ってくる。
ただの石ちゃう。綺麗な石
ええ感じの石を集め続けて早数年、これは最高傑作やで…
やっぱりただの石じゃない!
これをあげるのは惜しい気もするけどなー。でもプロデューサーやから、出血大サービス
み、ミユさん、ミユさんがわざわざ数年も集めたものの中からとびきり…ということは……こ、これはとても貴重な石なのでしょうか…!
心の宝石やで
ミユは大体いつもこんな感じである。
頭痛くなってきたわ……
そ、それなら私からも、宝物をあげたいなって思います!
空子が自分のカバンをゴソゴソとやりだす。
これ、どうでしょうか!
出して見せたのは、重機のミニカーだ。
ずっと前にガチャガチャで当たったショベルカーです! もうプレミアがついてるらしいです! 可愛いですね
乗り物が大好きな、空子らしいチョイスだった。
空子はなんでそんなものカバンに入れてるの……
石だの、ミニカーだの、みんな分かってないわ
考えてみなさい? アイドルのプロデューサーが贈って喜んでもらえるものといえば、担当アイドルの新しい魅力よ!
例えばほら、この留奈の新しいサイン!
そう言って、留奈はカバンからサイン色紙をとりだした。
留奈も、本気なのである。
彼女はアイドルという存在に、傾倒しすぎているところがある。
ま、まあ、それもえーけど、誕生日はもっとプライベートっぽいものでもええんちゃう…?
……場が静まり返ってしまった。
石どうやろなー、自分やったらもらうと嬉しいんやけどなー
あの、普通にお菓子とかケーキとか、ハンカチとか買っていけば……
小さな声で真っ当な意見を出しているのは、唯だけである。
ひかりが唯の肩にぽんぽんと手を置く。
唯ちゃん。諦めた方がいいかも。普通のプレゼントは通らない流れかも…
やっぱり……
羽田! そこで寝ない!
くたくたー。だって長いんだもんー。全然決まらないし
意見がバラバラで、お互い譲れないプレゼントを胸に抱えている。
それなら、1人1人じゃなくて、ユニット別にプレゼントするのはどうかな?
欠伸まじりに、千乃が提案した。
留奈は衝撃を受けたように体を震わせる。
そ、そうよ! それがいいじゃない!
素晴らしい案だわ! 常々思っていたのよ。事務所で一番のユニットはどれなのか
――これはその結果を出すチャンス
プロデューサーが喜ぶプレゼントをしたユニットこそ、事務所のトップじゃない!?
う、うん。そうかもな?
燃えてきたわ……ユニット対抗、プレゼント合戦ね。やってやろうじゃない……
しゅしがかわっている気がしますが
え、ちょっと待って留奈ちゃん。私たちからのプレゼントって、その色紙?
いくわよ、ひかり、楓! GARNETPARTYの真価を見せつけるのよ!
燃え盛っている留奈に、ひかりの声は届いていなかった。
GARNETPARTY――留奈、ひかり、楓、三人のユニットだ。
リーダーの留奈が、ひかり、楓を引き連れてカフェを出ていってしまった。
ユニット対抗戦? まあええか。じゃあ動くでー
いくでー、やっちゃん、つかささん!
はい! わたくしどこまでもミユさんについていきます!
ま、まってくださぁい、ミユさん、つかささぁん……!
ナチュライク!――ミユ、つかさ、八葉、三人のユニットだ。
そうして、リーダーのミユを先頭に、つかさ、八葉もカフェを出ていってしまった。
……残された三人。
メモリア――空子、唯、千乃、三人のユニット。
え、えっと……負けるなメモリア、えいえいおー?
空子が、かわいらしく、拳をつきあげた。
アイコネのストーリーがまた読める日がこんなに早く来るなんて...感動した!!!
ありがとう…ありがとう…
年齢いろいろつっこみたい…w
とても幸せな気持ちですね…ミユ…尊い…
ありがとう!アイドルコネクト!!!
配信とても嬉しいです。こんな形でアイコネにまた触れられるとは…!
話は変わって第1話の背景ですが、カフェのシーンで背景の赤い色と手前の白抜きの文字が目に痛くて読みづらいので、カフェのシーンの背景を少し薄くしていただけると嬉しいです。注文つけてしまってすみません…!
アイコネのストーリーが本当に好きだったので読める機会を作ってくれて本当に嬉しいです!
話してるキャラのアイコンが表示されたりシーンで背景が変わったり、ゲーム画面に近づけるようにという愛を感じました。
期間限定といわず最後まで続けてほしい気持ちでいっぱいです。
第1話に相応しく、自己紹介とユニット紹介を織り交ぜたキャラクターの特徴がよく分かる素敵なストーリーでした...!これからの配信が楽しみです(*´ω`*)
やっぱりアイコネって神。心の宝石やで
またアイコネのみんなに会えるとは……驚きと何より感激。