授業が終わる鐘が鳴り、皆がいっせいに席を立ち帰り支度を始める。
その時、鞄を持った渚が私とチカに話しかけてきた。
授業が終わる鐘が鳴り、皆がいっせいに席を立ち帰り支度を始める。
その時、鞄を持った渚が私とチカに話しかけてきた。
あの、先程母からメールが来て、お友達ができたと言ったら是非遊びに連れてきて、と言われたのですが…皆さんご予定ありますか?
あ、私は大丈夫だけど、急にいいの?
私も大丈夫!みんなは?
あー、ごめん。今日から塾のテストなんだあ。
また誘って!テスト終われば暇だから!
他のみんなも用事があるようで、結局行くのは私とチカだけになった。
3人で学校を出て、渚の家へと向かっていく。
いやー、楽しみだね!あのお屋敷、1回入ってみたかったんだ!すっごい豪邸じゃん?
ええ、すごく広いので昨日トイレに行こうとしてうっかり迷子になりました
そうなんだ、私たちも気をつけなくちゃね
そんな他愛もない話をしながら歩いていると、渚の家であるお屋敷についた。
幽霊屋敷と噂されていたとは思えないほど綺麗な豪邸だ。
さ、どうぞ
お邪魔しまーす!
お邪魔します
玄関に入ると、奥からスリッパをパタパタと鳴らしながら綺麗な女の人が出てきた。
まあまあ、いらっしゃい!
渚の母です。
初めまして、浅香りおといいます
安住チカです
りおさんにチカさんね
可愛いお友達が出来てよかったわね、渚
うん、それに二人ともすごく優しいの
今日一緒にお昼も食べたんだよ
リビングに案内され、ふかふかのソファに座る。
外観からはわからないほど綺麗な室内を見渡していると、授業の時のような違和感が胸に渦巻いた。
なんだろう、この違和感…
何かを…忘れているような…でも何を…?
ぼんやりとリビングの大きな窓から外を見ると、真っ赤な薔薇が庭一面に咲き誇っていた。