アツクナッテキタネー
白金台先輩、大丈夫ですか?目がうつろですけど
白金台は暑さに弱いからな。これ以上やられる前に冷房の設定温度下げるか
と言うか、白金台のうちって、お兄さんが寒いの苦手でお前が暑いのだめなんでしょ?家の空調どうしてるの?
年間通して23度が保たれるように空調入れてます
わぁ
流石セレブ
でも、冷房だけじゃあんま涼しくなった気がしませんね。誰か怖い話でもしてくれません?
怖い話ですか?やっぱり、おばけとかでしょうか
怖ければおばけでも悪魔でも人間でもどれでも良いよ!
……余計にハードルを上げられたような……
そっか、それじゃあ、俺が高校の時の怖い話しようか
どんな話ですか?
俺が高校3年の時に入ってきた、部活の新入生の話だよ
ニンゲンの怖い話ですね!期待!
取り敢えず白金台は落ち着いて。それじゃあ、聞きましょうか
俺は高校の時生物部だったんだけど、ほんと部員が集まらない部活で、俺が3年の時に部員が俺ひとりになったんだよ
それで、このまま廃部になるのかと思ってたら、新入生がひとり入ってきたんだ
いつもにこにこしてて、物腰も柔らかで、とても良い奴だった。入部してすぐに、準備室に置いてあったプランターを全部使ってハーブを育ててたな
そこまでなら、ハーブの研究をする気があるのかって感じなんだけど、ハーブを育てた後の行動が不可解だった
育てたハーブを、真っ黒な灰になるまで燃やして、それを溜め込んでたんだよな
他人がそれに触ろうとすると血相を変えて怒ってて、普段温厚なあいつがなんでそんなに怒るのか疑問になったんだ
それで、その灰を何に使うのかって訊いたらこう返ってきた
『賢者の石を作るのに必要だ』
賢者の石ってのはゲームで聞いたことは有ったけど、そんな物を本当に作ろうとしているやつが居るって言うのが信じられなかったし、賢者の石を作ると言った時のあいつは、正気じゃないようにみえたんだよな
正気を削ってまでなんでそんな物を求めたのかはわからなかったけど、あの時は心底ぞっとしたね
ヒャッホーゥ!SAN値直葬!
落ち着いてください
船堀先輩は、その後輩と今でも連絡取ってるんですか?
いや、俺は1学期中に部活引退したから連絡先をやりとりするほどは親しくなってなかったんだ。
後から人づてに聞いた話だと、天文部の奴と仲が良かったみたいだけど
仲の良い方が居たのはいいのですが、その方が道を踏み外していないか心配ですね
賢者の石って言ったら錬金術だよね!錬金術が現代に甦ったらすごいね!
錬金術かぁ。私には、それは迷信だとしか思えないけど
迷信か否かに関わらず、狂信は怖いよなぁ……