ノエルとの雑談に興じていたクレアは突然の声に驚きすぎたのか、今までに出したことのない声を出して驚いた。
それにしても、シャロちゃんすごいね
ここにきてまだ1週間経ってないのに、もう皆と馴染んでる。
クレアもシャロちゃんみたいに人に好かれると良かったんだけどねぇ
そうなんですよねぇ……
って!私皆に好かれてなかったんですか!?
どうかしらねぇ
そんなことないですよね?
もっと笑顔を振りまかないとね
ちゃんとポーズもつけて可愛らしく
こんな感じですか?
あの、何してるんですか?
うわーーーーーーい!
ノエルとの雑談に興じていたクレアは突然の声に驚きすぎたのか、今までに出したことのない声を出して驚いた。
シャロちゃんはいつからそこにいたのかな!?!?
クレアさんが片目を閉じて、片足上げて、アイドルよろしく痛々しいほどに可愛らしいポーズを決めてた時にはもう居ましたよ?
っ~~~~~~///////
クレアの顔がゆでだこのように真っ赤に染まる。その様子をシャロとノエルが楽しそうに見つめる。
ここ数日の間、屋敷の中でよく見る光景だった。
シャロちゃん絶対私のことバカにしてるでしょ……。
そんなことないですよ?
クレアさんは尊敬できる先輩です
ま、そう思ってもらわなくちゃね
ちょっといじり甲斐がある先輩ですね
にゃーーーーーー!!!
まぁ、冗談はこのくらいにして、クレアさんのことを尊敬してるのは本当です。
ご主人様の側でのお世話も任されるくらい信頼されてるんですから
そういえば、シャロちゃんはまだでしたね。ご主人様への挨拶。
そうなんです。
早くあいさつしたいんですけどね……。
まぁ、あの奥の部屋には限られた人か、マリアから許可をもらった人しか行けませんからねぇ……。
奥の部屋……。
どうしたの?シャロ?
いえ、何でもないですよ
残りの掃除終わらせて、マリアさんに報告してきますね。
そう言い残すと、シャロはパタパタと自分の持ち場に戻っていった。
シャロちゃん……。
クレア。仕事に戻るわよ。
この屋敷の最奥……。
この部屋に……。
誰!?
やっと見つけた……。
アンタの命……。いただくよぉ!
えっ?
この刃の先には致死量の毒が塗ってあるのよ?
これを受けた貴方は
なにこれ……ガラス?
それは『裏写しの鏡』
その鏡には貴女の対極にあるものを映し出すのよ。
そしてそれは貴女自身でもある
つまり、あなたが毒を打ち付けた相手は自分自身
そしてその攻撃は
貴女に
跳ね返る
跳ね返る
うっ……ぐっ……あぁ……
部屋の中に明かりが灯った。
そこには砕け散った鏡と、横たわるシャロの姿があった。
目は赤く光り、美しく気立ての良かった彼女の姿はそこにはなかった。
いい子だったんだけどねぇ……
出来すぎてたのよ……
彼女は……
二人は鏡を見つめる。『裏写しの鏡』はなぜか、もう元通りになっていた。
私たちの仕事は、この鏡を守り続け、レイモンド家をずっと存続させること……。
そう言ってマリアは鏡を眺める。
ノエルはその隣でマリアを見つめ続ける。
なに?
別に~
マリアさ、そろそろ貴女がその鏡を見たらどんな姿が映っているのか教えてよ。
教えるものでもないわ。
さ、明日も仕事でしょ
はいはい
ノエルは、マリアの言葉を聞くと、ひらひらと手を振りながら部屋を出た。
マリアは鏡に布をかける前にじっと鏡を見つめた。
鏡の奥にいる姿はマリアそのものだった。
ずっと守らないと……
ずっと……
ず~~っと……
危ない危ない
こんな姿ほかのメイドには見せられませんね……。
そう言い残して、マリアは鏡に布をかけ部屋から出ていった。
こちらレイモンド家では新しいメイドを募集しております。やる気のある方でしたら年齢は問いません。等身大の自分と見つめ合い、ご主人様へ愛をささげられる方をお待ちしております……
五話完結でまったりと終わるのかと思いきや、衝撃の展開!いい意味で期待を裏切られました♪