下僕よ、リハーサルの前に晩餐にするぞ。今宵のライブ、十分な力をつけて望まねば、生きて帰れぬかもしれぬからな…くくく
グラスをここへ……うむ、よく冷えておる。 …だからこれはトマトジュースではない! かぐわしき乙女の鮮血と呼ばぬか!
……むっ? 下僕よ、まさかとは思うがそなた、自分の食事はその菓子パンひとつですませるつもりではなかろうな?
許さぬぞ!
下僕よ、我が手足となるそなたが、栄養のバランスを全く考えぬ食事を取るなど、魔神が許してもこのカーミラが許さぬ
見よ! 呪われたランチボックスに封印されし闇の傑作…! わが魔力をこめて作られし手作り弁当が放つオーラの力強さを…!
…そうじゃな。やはり彩りと栄養バランスを考えると野菜は欠かせぬ…このウィンナーはタコとカニではなく、禍々しき召喚獣じゃ
…とにかく、そのような菓子パンひとつで今宵の修羅場は乗り切れぬ。わらわの魔力、分けてやるゆえ口を開け。ほれ、あーん
……どうじゃ? おお、そうか美味か! 当然じゃな。サラダから米粒にいたるまでわらわの魔力が満ちているゆえ…あーん
…そんなに美味いか? そうじゃろうな。その『咎人の心臓』は隠し味に工夫が…… どうしたのじゃ? 急に咳き込んで…
ではもうひとつ… いらぬのか? それではこちらの『悪魔の右眼』を… これもいらぬ? ……ん? もう胸がいっぱい?
そなた、思ったよりも小食なのじゃな。
そのようなことでは先が思いやられるぞ。わらわの覇道はまだ始まったばかりじゃ!