スッ―――
うう、さむさむ。雪でも降りそうな感じだね。
雪……恐ろしい。
恵さん、いざという時はエイミのオーバーヒート機能を使って暖をとってくださいね。3分でエイミは機能停止しますが、恵さんが生き延びるためなら、
殺伐とした世界ですね。
ふん、身を犠牲にして貢献なんて、かっこ悪いわ。そんなことしなくても――
スッ―――
あっ手を……
こうやって繋げば、それなりに暖かいってもんよ。 ……あっ、だめか。
通常時……エイミのスキンは、熱を有さないです……
いいよ別に。そういうことじゃないし。
ふん、何よ。華奢な腕……怒りに任せて握りしめたら、壊れちゃいそうだよ。
そんなもろくて弱いものに、あたしはずっと頼ってたんだ……
恵さん……? どうしたんですか。もう、エイミを頼ってはくれないのですか。そうしたらエイミは……
そうじゃない。これからだって頼るよ。
この一年、ずっとエイミさんはそばにいて。いつも助けてくれた。
エイミは恵さんのお世話ドロイドですから。
あたしにとっては違う。ただのお世話ドロイドじゃあ、ない。
それ以上のものを、もらってる……だから、
あたしが、何かしてあげたい。そう思ってんの。
これからは、エイミさんにも頼ってもらえるような。そういう自分になりたいんだ。
――――――
エイミが、恵さんを、頼る? それは、エイミに標準機能には用意されていなくて……
難しいことは考えないでよ。エイミさんは普段通りでいいよ。あたしがしたいだけなんだから。
いつまで、頼っていいのですか? 明日までですか?
短いな! もっとだよ。
完了日が決まらないとスケジュールが立てられません。
ええい、言わせんな! ずっと! ずっと一緒! 死ぬまで一緒なんだから!
――受理しました。今の言葉は録音され、ずっとエイミの中に保存されます。よろしいですね?
!! い、今更二言は、ね~!
――――――
……はっ あそこに見えるのは恵さんのお友達、佳奈様。
!?
めぐちゃんったら、かっこいいんだから……♡!
何やら携帯を構えていらっしゃいましたが、なんでしょうか。あっ、足早に去って行かれます。
もしかしなくても盗撮! 拡散される! それだけはダメー!
行くよエイミさん! かなちゃんを止めろおおお
お待ち下さい恵さん!
……
改めて、よろしくお願いします。恵さん。
ドロイドさんとの何気ない会話
ストリエバージョン:
おしまい