びくびくっ
(藤吉さんに招待された
ハロウィン前夜パーティ、
楽しかったな)
(藤吉さんの魔女の仮装
すごく可愛かったし……)
(珍しくBL展開に
ならなかったし、
いい思い出になったなあ)
(危うく俺も魔女の服を
着せられそうになったけど、
無事に回避できて
本当に良かった)
おい、そこの少年
はい?
男にしてはずいぶんと
麗しい顔をしている
ではないか
出会い頭に
なんなんだアンタは。
そして誰なんだ
私か? ……フフッ。
私は見ての通り、
ヴァンパイアだ
いや、それ……
ハロウィンの
衣装ですよね?
何を言うか!
これは仮装などではない。
私は正真正銘、
本物のヴァンパイアだぞ!
ヴァンパイアって……
日本語で言うと、
吸血鬼?
そうだ
あの、血を吸うと
言われている怪物?
だから、そうだと
言っているだろう
(残念イケメンだな。
ハロウィン前夜だから
お酒を飲みすぎたのかも)
(酔っぱらいの相手
なんかしてないで、
早く帰ろう)
待て、少年!
話を聞け!
……なんですか?
私はお前に一目惚れを
してしまった。
妻として迎えてやろう。
光栄に思え
立ち止まるんじゃ
なかった
人が下手に出ているのを
いいことに、
なんだその態度は!
帰りが遅くなったら
親に怒られるから、
俺は急いでるんです!
私の言葉を聞き入れぬと
言うのならば、
こちらにも考えがある
うわっ!
腰をつかんで
抱き寄せるな!
チュッ……
んっ……!
ちゅ……ちゅ……
(俺、見知らぬ人に
キスされてる!?
コイツ変態だー!!)
やめろー!
おい!
暴れるな!!
聞き分けの無い奴だな!
なんで聞き分けなきゃ
いけないんだよ!
離せ!!
チッ……。
やはりこうするのが
手っ取り早いか……
へっ?
かぷっ
ちょ!!??
首筋に噛みつくな!
痛い痛い!!
チュウ……
……ッッ!?
(なんだ……この感触!?)
ほう……。
血を吸われると
快感を覚えるタイプか
かっ……!
快感なんか覚えてない!
素直に気持ちいいと
言ったらどうなんだ?
チュッ……チュウッ……
びくびくっ
き、気持ち良く
なんか……っ!
(ヤバイ……。
血を吸われ過ぎて
目の前が白くなってきた)
はあ、はあっ……!
誰か、助け……っ
助けを呼んでも無駄だ。
辺りに人気が無いのは
確認済みだ
BL王子!
今、助けますよ!
藤吉さん!
茂みの中に女が
居ただと!?
いつからそこに……!
こんな事もあるかと思って、
ずっとBL王子の後を
つけていたんです!
って言いながら、
通販番組で売ってた
4000万画素のデジカメを
こっちに向けてるのは
どういうこと?
この官能的な光景を
動画撮影しているだけ
ですからお気になさらず
(ああ……。
俺を助ける気がまったく
感じられない……)
(ん……?
ここは……?)
(確か俺、ヴァンパイアに
血を吸われて……。
それからどうしたんだっけ)
(ベッドに寝かされてるけど
俺の部屋じゃないし……)
(おかしいな。
周りの物がなんとなく
大きく感じるぞ?)
(とりあえず
ベッドから下りよ……)
イタッ!
(床で顔面打った……。
何でこんなに段差が
あるんだ?)
(うう……。
痛すぎて悲しくなってきた)
うえーん!
うえーん!
どうした?
何があった!?
ベッドから落ちた~!
うわーん!
痛いよぉ~!
そうかそうか、
そりゃ痛かったな。
よしよしっ
……ん?
なんで俺、軽々と暮男に
膝の上に乗せられてんだ?
覚えてないのか?
……ああ、そっか。
気を失ってたもんな
どういうことだ?
ほら、鏡。
自分の姿を
見てみろよ
はあああっ!?
な、なんで俺、
子供になってんだ!?
お前はさっき、
公園で……
(ああ……。
俺を助ける気がまったく
感じられない……)
ああっ!
BL王子が快感のあまり
昇天した!?
血を吸われていたのに
貧血で気絶したとは
考えないのか?
えっ、貧血なんですか?
救急車呼んだ方が
良くないですか?
その必要は無い。
すぐに吸血の効果が
表れるだろう
…………
…………
ええっ!!
BL王子が子供に
なっちゃいましたよ!?
血を吸ったことで、
運びやすいサイズに
身体を縮めたまでだ
おろおろ
どうしましょう!
このままでは
吸血鬼×ショタBL王子が
始まってしまいます!
嬉しそうだな、女
テメーッ!
俺の王子から離れろ!
な、なんだこの男は!
釘バットなぞ振り回して
非常識ではないか!
人を縮めたあげく
誘拐しようとした奴に
常識を語られたくねえ!
釘バットを持ったヤンキーほど
やっかいなものは無い!
ここは一時退散だ!
あ、空を飛んで行った……。
本当にヴァンパイア
だったんですね
ふう……。
都合よくそこに釘バットが
落ちていて助かったぜ
そうですね!
釘バットはよく公園に
落ちている物ですからね!
ところで番長さんは
どうしてここに?
ひさしぶりに
こち亀が読みたくなって、
コンビニでジャンプを
買ったんだ。その帰りだよ
こち亀は、
もう連載終わりましたよ
……えっ!?
そして藤吉は
『門限がある』と言い残し、
お前を放置して帰った
つ、冷たい
仕方ねーから俺が
お前を抱っこして
運んでやったんだぞ!
そうだったのか……。
この服、ぴったりだけど
まさかこれもお前が?
幼稚園の時の制服が
取ってあったから、
着せてやったんだよ。
大変だったんだぞ!
色々ありがとう、暮男
べ、別に礼なんか
いらねえよ。
恩着せてる訳じゃねーし
(さっきまで恩着せ
がましかった気がするのは、
俺の気のせいだろうか)
そう言えば、
さっきは何で
泣き喚いてたんだ?
いや、だから……。
ベッドから落ちて、
痛かったからだよ
だからって本物のガキ
みたいにわんわん
泣くこたぁねーだろ
どうしてなのか
自分でもわからないけど、
急に泣きたくなって……
まさか身体に影響されて、
精神の幼児化が始まってる
わけじゃねえよな?
ははっ。
そんな、まさか
おい、これを見ろ
ああっ!
それは俺が幼稚園時代に
大好きだった、
ラヌカルのぬいぐるみ!
欲しいか?
欲しい欲しい!
ちょうだい!
(か、可愛い……!
意地悪したい!)
ただでやるわけには
いかねーな。
代わりにチュウを……
ぐすんっ。
なんでくれないんだよぉ。
暮男のイジワル……
う゛っ
わ、わかったよ。
俺が悪かった。
ほら、やるよ!
わぁーい♪
ありがとう、暮男!
ぬいぐるみに
頬擦りなんかして、
完全に幼児だな
(ハッ!)
嘘だ!
これは何かの間違いだ!
早く元に戻らないと、
身も心も幼児化
しちまうかもな……
ううっ……。
そんなの……あふっ……
イヤ……だ……
どうした?
なんか急に眠く
なってきて……。
ふわあ~
ガキ同然だな。
もういいから、
今日は泊まってけよ
うん……。
暮男と一緒に寝る……
なんだと!?
むにゃ……
俺の膝を枕にして
寝ちまいやがった
暮男……
いっそこのままでも
いいかもなあ……
まだそのままなんですか?
一晩たったら戻ってるかと
思ったのに
俺もそうなる事を
願ったんだけどね……
俺はこのままでも
いいと思うけどな!
さりげなく俺を
抱っこするな!
ちぇっ。
昨日はあんなに
なついてたのに……
あれは忘れろよ。
夜中だからなんか
おかしかったんだよ
中二病のポエム
みたいですね
俺、ポエムなんて
書いたこと無いよ!
物の例えなのに
必死に否定しなくても
そっか、ただの例えか。
ビックリした……
まさか夜中にポエムを
書いたことあんのか?
な、無いよ
ポエム書くなんて、
女の子みてえじゃねーか!
書いたことなんて
無いって言ってるだろ!
無駄な会話を続けてないで
早く元に戻る方法を
探りましょうよ
藤吉が珍しく
まともなことを
言ってる!?
藤吉さん……。
元に戻る方法を調べるふりして、
俺をみんなに会わせる気でしょ?
よくわかりましたね!
こんな絶好のチャンス、
逃す手はありませんから!
やっぱり……
まともじゃなかった
んぎゃああ!!!!
腐女っ子姫さんも素敵だけれど
番長とショタ王子の破壊力はやばい!!!!
最高です!!(*´д`*)ハァハァ
そしてなぜに公園に釘バットがwww
>吟鴉さん
魔女っ子姫素敵ですよね~!!
ショタ王子は、やっぱり幼なじみの暮男になじみがあるっていう設定で書きました。
釘バットにも反応して貰えて嬉しいです!(*´∀`)
>さくらい莉さん
ショタ王子、可愛いと言っていただけて安心しました(‘、3_ヽ)_
ちなみに暮男が優しいのは、きっと下心があるからです(笑)
最終話きちんとまとめられるように頑張ります!
>さくらい莉さん
表紙に設定したから、コメント欄にも表示されたみたいですね!
ついさっき、11話と25話の表紙にもさくらいさんのイラストを設定させていただきました(`・ω・´)
藤吉さんの魔女の仮装、とっても可愛かったです!
吸血鬼にまで好かれるとは…さすがBL王子…(*´-`)
ショタBL王子も可愛かったです!私は暮男くんが何気なしに好きなので話に出てきてくれて嬉しいです(๑⃙⃘ˊ꒳ˋ๑⃙⃘)
続き楽しみにしています!