榊 十四郎

…………

ソール・グルナディエ

…………

さ、榊将軍の剣が弾き飛ばされた……

そんな……バカな…………

ま、まだです!将軍にはまだ妖術がある!!勝負はまだついていません!!

ソール・グルナディエ

兵はああ言っているが、どうする?

榊 十四郎

決まっているさ

榊 十四郎

俺の負けだ。ソール

古森

良かったな、水男殿……

そんな……榊将軍が負けるだなんて……

しかし、将軍のあのような清々しそうなお顔、初めて見たかもしれん……

ソール・グルナディエ

…………良かった

榊 十四郎

ソール、お前には本当に迷惑をかけた。改めて礼を言おう

ソール・グルナディエ

……別に構わないさ。お前が絆より使命を選ばないでくれて、ホッとしている

榊 十四郎

……そうだな。俺はもう少しで大事な友を捨てるところだったのか。自分でしたことながら恐ろしい……

負けなど許さぬよ、十四郎?

ソール・グルナディエ

っ!

榊 十四郎

この声は……!

セヘル

どうも、この声こそがセヘルである

セヘル様!いつからそこに……?

セヘル

此度の戦はこの神も参陣すると言ったではないか。聞き流されると泣いちゃうよ?

セヘル

まぁ、準備に時間がかかったことは認めるが

ソール・グルナディエ

あれは、王都で見たロリコン神!?

セヘル

神様難しい言葉分かんにゃい

ソール・グルナディエ

何がにゃいだ!!

榊 十四郎

セヘル様……

セヘル

十四郎よ、将軍とは十国の人々の象徴である。将軍とは無敗であって当然のもの。辛勝はおろか敗北を喫すなどあってはならぬこと

セヘル

故に、この神は「神罰」を発動する

ソール・グルナディエ

神罰?

榊 十四郎

…………

神罰…………!

神罰とは……!セヘル様、どうかお慈悲を!十四郎様は今失うわけにはまいりませぬ!!

セヘル

ならぬ。榊十四郎の敗北は歴代将軍への無礼、十国の歴史の汚点となる。この神は穢れは嫌いだ

セヘル

汚れは早急に落とさないとこびりついてしまう故にな

ソール・グルナディエ

……おい、そこのロリコン

セヘル

神様難しい言葉わかん――――

ソール・グルナディエ

人の親友を汚物扱いするな!!

古森

水男殿!!

榊 十四郎

ソール、よせ!!

ソール・グルナディエ

消滅せよ、フラム・オラージュ!!

セヘル

やれやれ……

ソール・グルナディエ

がはっ!!

古森

水男殿!!

なんという量の吐血だ…………

榊 十四郎

セヘル様!彼は……彼には何の罪もないはず!!どうかお慈悲を……!!

セヘル

お前は相変わらず甘いのぅ、十四郎。勿論許すわけにはいかんよ

セヘル

十四郎が汚物ならば、その男は異物だ。この神は異物を食べて腹を壊したことがあってな、それ以来異物は徹底的に潰すことにしているのよ

榊 十四郎

それでも……セヘル様……どうかお慈悲を…………

榊将軍……

セヘル

……そうさな、確かに神聖な神罰の前に胃を壊してはたまらんな

セヘル

よかろう、この神は慈悲深い故な。この異物の処理は一度見合わせよう

セヘル

明後日、広場にて神罰を執り行う。この神の兵は榊十四郎を連れて都まで帰還せよ

榊 十四郎

……神よ、お慈悲に感謝いたします

ソール・グルナディエ

っ……十四郎…………!!

榊 十四郎

ソール、お前のことを俺は決して忘れない

榊 十四郎

今まで、ありがとう

ソール・グルナディエ

…………っ!!

榊将軍……あの…………

榊 十四郎

…………ああ、行くぞ

ソール・グルナディエ

…………っ

古森

水男殿……

ソール・グルナディエ

……だ、これは

古森

えっ?

ソール・グルナディエ

なんだ、これは!!!!

…………

ソール・グルナディエ

こんなバカな話があるか!!ようやく……ようやく彼の本音を聞くことができて、ようやく彼を止めることができたというのに!何故、そこであんなロリコン神に彼を奪われなければならんのだ!!

ソール・グルナディエ

教えろ古森!!神罰とはなんだ!?奴らは十四郎に何をするつもりだ!!

古森

……神罰とは、神の御前で罪人を滅する行為だ。神立会いの下で処刑人が罪人の首を刎ねる…………

古森

榊将軍は明後日、処刑される

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