夢を見ているのかもしれない。

いや、夢であってほしいと願っているだけだ。

彼と斬りあう……そんな残酷な出来事が現実のはずがない。
風切り音と共に受けた斬撃は確かに容赦がなく、そして確かに悲鳴をあげていた。

これが夢ならそれでいい。
だが、これがもし現実だったなら、どうやって彼を止めればいい?
どれだけ戦えば、彼の目を覚ませる?

目の前の私に、気づかせることができるだろう……

ソール・グルナディエ

がっ……は……!

古森

水男殿……

さすが榊将軍だ!ディスナティの魔法使いごとき敵じゃない!!

光明が見えた!この勢いに乗り、一息にディスナティを倒そうぞ!!

榊 十四郎

…………

ソール・グルナディエ

まだだ……

榊 十四郎

ソール!!

ソール・グルナディエ

痛くもないさ……これくらい

榊 十四郎

バカが…………!どう見ても無事じゃないだろ

ソール・グルナディエ

私を殺すつもりなら、もっとよく狙うことだな……

ソール・グルナディエ

十国の将軍は、敵一人殺せないのか?

榊 十四郎

もうやめろソール。勝負はついた。これ以上お前が立ち上がる必要は……

ソール・グルナディエ

なら第二セットだ

榊 十四郎

はっ?

榊 十四郎

ソール……いい加減に…………!

ソール・グルナディエ

いい加減にするのはどっちだ!!

榊 十四郎

ぐっ……!!

榊将軍!!

ソール・グルナディエ

はあっ……はあっ…………!!

ソール・グルナディエ

っ……どうだ十四郎?私も成長しただろう?お前を跪かせるくらいにはな

榊 十四郎

……そうだな

榊 十四郎

お前は強いよな、ソール

ソール・グルナディエ

はあっ……はあっ……!!

榊 十四郎

ふうっ……ふうっ……!!

古森

水男殿……血が……

榊将軍も傷を負い過ぎです!!どうかお下がりください!!

榊 十四郎

どけっ……ソール!!

ソール・グルナディエ

どかせてみせろ……十四郎!!

うおおおおおおおっ!!!!

榊 十四郎

もう遅いんだソール……戦争は止められない!!

榊 十四郎

戦争が避けられないのなら、せめて一刻も早く終わらせる!!そのために俺は、行かねばならんのだ!!

ソール・グルナディエ

自惚れるな!!戦争など、私が起こさせはしない!!

ソール・グルナディエ

戦争を止めたいのなら、私の屍くらい容易く越えて見せろ!!

榊 十四郎

頼むから退いてくれ……俺に親友を討たせるな!!

ソール・グルナディエ

甘えるな!!これがお前の望んだ……結果じゃないのか!!斬りたくないのなら、何故私を頼らなかった!!

ソール・グルナディエ

たとえ離れていても親友だと私に誓ったのは、どこのどいつだ!!

榊 十四郎

…………だが、これは神が描いた脚本だ!!俺たちが何を想おうと、神の言葉には逆らえない!

榊 十四郎

たとえ親友を討てと言われたら……従わざるを得んのだ!!

ソール・グルナディエ

ぐあっ…………!!

ソール・グルナディエ

……だったら討てばいい!!

榊 十四郎

!!

ソール・グルナディエ

その神の意志がお前の意志なら迷わずに私を討てばいい!!だが、それでお前は何も感じないのか!?それが本当にお前の意志なのか!?

ソール・グルナディエ

斬りたくないから、未だに私にとどめが刺せんのだ!!

榊 十四郎

…………っ!!

ソール・グルナディエ

答えて見せろ十四郎!!お前が本当にしたいことは何だ!?戦争なら私は道を開けてやる!!私との戦いなら死ぬまで付き合ってやる!!

ソール・グルナディエ

神ではなく自分に問いかけろ、榊十四郎!!

榊 十四郎

俺はっ……俺はっ…………!!

榊 十四郎

戦争など、したくないっ……

榊 十四郎

親友を…………斬りたくなどないっ!!

pagetop