中村多喜男(なかむらたきお)

ごめんなさい、こんな夜遅くに呼び出して

高橋るい(たかはしるい)

いいのよ、やることなんかもうないし

高橋るい(たかはしるい)

それで話って?

中村多喜男(なかむらたきお)

その、僕のせいで会社を辞めることになってしまい、本当にすみませんでした

高橋るい(たかはしるい)

……もういいのよ、その話は。あなたは巻き込まれただけ

高橋るい(たかはしるい)

もう、関係ないから

中村多喜男(なかむらたきお)

嫌なんです

高橋るい(たかはしるい)

え?

中村多喜男(なかむらたきお)

関係ないで終わらせたくないんです!

中村多喜男(なかむらたきお)

悪いことばかりじゃないんです

中村多喜男(なかむらたきお)

工藤さんたちに出会えた。一緒に仕事をしていて楽しかった

中村多喜男(なかむらたきお)

そんな思い出も全部なかったことにしたくないんです

中村多喜男(なかむらたきお)

なにより高橋さん、るいさんと会ったことをなかったことにしたくないんです!

高橋るい(たかはしるい)

…………

中村多喜男(なかむらたきお)

僕はるいさんが好きなんです

中村多喜男(なかむらたきお)

まだ学生の身分なのであなたを支えるのは難しいかもしれないけれど、これからも一緒にいてほしいです!

高橋るい(たかはしるい)

中村君……

中村多喜男(なかむらたきお)

…………

高橋るい(たかはしるい)

ありがとう……うれしい

高橋るい(たかはしるい)

初めは親切な人だと思った。喫茶店では大胆なことを言う子だなとも思った

高橋るい(たかはしるい)

それから時々多喜男のことを思い出していた

高橋るい(たかはしるい)

同棲していると聞いたときは少し面白くなかった

高橋るい(たかはしるい)

もう二度と会えなくなると思うとすごく寂しかった

中村多喜男(なかむらたきお)

るいさん

高橋るい(たかはしるい)

ありがとう多喜男君

高橋るい(たかはしるい)

私もあなたが好きです。よろしくお願いします

中村多喜男(なかむらたきお)

あれからるいさんと僕はお付き合いをすることになった

中村多喜男(なかむらたきお)

でも、告白したあの日。家に帰ると女神ちゃんの姿はなく、書き置きがあるだけだった

中村多喜男(なかむらたきお)

書き置きには

お兄さんへ
ちゃんと告白できたでしょう。ちゃんと私に感謝をしてください。あなたのモテ期は終わりましたがハッピーエンドで終わったと私は信じています。
             女神ちゃん

P.S. 結局、壱王に連れてってもらってないですね。薄情者ですかお兄さんは。

中村多喜男(なかむらたきお)

と、書いてあった。

中村多喜男(なかむらたきお)

あれ以来、帰ってくることもなくどうしているのかもわからない

高橋るい(たかはしるい)

多喜男くん!

中村多喜男(なかむらたきお)

るいさん

高橋るい(たかはしるい)

ごめんなさいね、家に押しかけるようなことしちゃって

中村多喜男(なかむらたきお)

いえ、大丈夫です

中村多喜男(なかむらたきお)

あの後、るいさんは再就職をした。工藤さんとも連絡は取りあっていて会っているらしい

高橋るい(たかはしるい)

食事の一つでも振る舞うわよ。ちゃんと食べてる?

中村多喜男(なかむらたきお)

最近はあんまり自炊してないですね

高橋るい(たかはしるい)

大学生ってそんなものよね

高橋るい(たかはしるい)

まかせておいて

中村多喜男(なかむらたきお)

あれ? 鍵開けっ放しできちゃったかな

高橋るい(たかはしるい)

戸締りはしっかり確認しないと、不用心よ

中村多喜男(なかむらたきお)

すみません、締めたつもりだったんですが

中村多喜男(なかむらたきお)

ん?

高橋るい(たかはしるい)

なにか話し声がするけどテレビでもつけっぱなの?

中村多喜男(なかむらたきお)

いえ、そんなはずは

うわっ! ずるっ! なんだそれ!

私を誰だと思ってるんですか?

中村多喜男(なかむらたきお)

この声……

悩める恋を導く

中村多喜男(なかむらたきお)

もしかして!

高橋るい(たかはしるい)

ちょっと、多喜男君!?

女神ちゃん

女神ちゃん!

女神ちゃん

ですから

中村多喜男(なかむらたきお)

帰ってきてたんだ、女神ちゃん

大塚栄多(おおつかえいた)

おい多喜男! なんなんだよこの子! お前の知り合いで合鍵まで持ってるって!

中村多喜男(なかむらたきお)

栄多!? なんで家に?

女神ちゃん

やっと帰ってきましたかお兄さん

女神ちゃん

お腹がすきました! チャーハンが食べたいです!

中村多喜男(なかむらたきお)

いや、勝手に居座られててその言い草は

女神ちゃん

さあ、レースゲームを再開しますよ

大塚栄多(おおつかえいた)

ふっ、次は負けねえ!

中村多喜男(なかむらたきお)

…………

高橋るい(たかはしるい)

多喜男くん……これはいったい

中村多喜男(なかむらたきお)

あ、るいさん。すみません騒がしくて

高橋るい(たかはしるい)

それはいいんだけど、彼女たちは?

中村多喜男(なかむらたきお)

ああ、男の方は僕の大学の友人です。もう一人は

中村多喜男(なかむらたきお)

僕たちを会わせてくれた子です

女神ちゃん

これにておしまいです!

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