ごめんなさい、こんな夜遅くに呼び出して
いいのよ、やることなんかもうないし
それで話って?
その、僕のせいで会社を辞めることになってしまい、本当にすみませんでした
……もういいのよ、その話は。あなたは巻き込まれただけ
もう、関係ないから
嫌なんです
え?
関係ないで終わらせたくないんです!
悪いことばかりじゃないんです
工藤さんたちに出会えた。一緒に仕事をしていて楽しかった
そんな思い出も全部なかったことにしたくないんです
なにより高橋さん、るいさんと会ったことをなかったことにしたくないんです!
…………
僕はるいさんが好きなんです
まだ学生の身分なのであなたを支えるのは難しいかもしれないけれど、これからも一緒にいてほしいです!
中村君……
…………
ありがとう……うれしい
初めは親切な人だと思った。喫茶店では大胆なことを言う子だなとも思った
それから時々多喜男のことを思い出していた
同棲していると聞いたときは少し面白くなかった
もう二度と会えなくなると思うとすごく寂しかった
るいさん
ありがとう多喜男君
私もあなたが好きです。よろしくお願いします
あれからるいさんと僕はお付き合いをすることになった
でも、告白したあの日。家に帰ると女神ちゃんの姿はなく、書き置きがあるだけだった
書き置きには
お兄さんへ
ちゃんと告白できたでしょう。ちゃんと私に感謝をしてください。あなたのモテ期は終わりましたがハッピーエンドで終わったと私は信じています。
女神ちゃん
P.S. 結局、壱王に連れてってもらってないですね。薄情者ですかお兄さんは。
と、書いてあった。
あれ以来、帰ってくることもなくどうしているのかもわからない
多喜男くん!
るいさん
ごめんなさいね、家に押しかけるようなことしちゃって
いえ、大丈夫です
あの後、るいさんは再就職をした。工藤さんとも連絡は取りあっていて会っているらしい
食事の一つでも振る舞うわよ。ちゃんと食べてる?
最近はあんまり自炊してないですね
大学生ってそんなものよね
まかせておいて
あれ? 鍵開けっ放しできちゃったかな
戸締りはしっかり確認しないと、不用心よ
すみません、締めたつもりだったんですが
ん?
なにか話し声がするけどテレビでもつけっぱなの?
いえ、そんなはずは
うわっ! ずるっ! なんだそれ!
私を誰だと思ってるんですか?
この声……
悩める恋を導く
もしかして!
ちょっと、多喜男君!?
女神ちゃん!
ですから
帰ってきてたんだ、女神ちゃん
おい多喜男! なんなんだよこの子! お前の知り合いで合鍵まで持ってるって!
栄多!? なんで家に?
やっと帰ってきましたかお兄さん
お腹がすきました! チャーハンが食べたいです!
いや、勝手に居座られててその言い草は
さあ、レースゲームを再開しますよ
ふっ、次は負けねえ!
…………
多喜男くん……これはいったい
あ、るいさん。すみません騒がしくて
それはいいんだけど、彼女たちは?
ああ、男の方は僕の大学の友人です。もう一人は
僕たちを会わせてくれた子です
これにておしまいです!