失礼します、榊将軍。そろそろ出立の時間です
……ああ、すぐ行く
…………
静かなものだな……
風音も港に到着する頃だろう。ディスナティの横腹を俺達が突ければ、十国の勝利だ……
それが、神に定められた脚本……
今からでも遅くはない戦争を止めてくれないか
なに?
…………
……幻聴だ
どうか戦などお止めください……榊将軍
……すまない、ソール
俺は……神には逆らえない
全員、用意はいいか?
いつでも問題ありませんぞ、将軍!
よし、これより港に向かい、船に乗り換えてディスナティを挟撃する!俺に続けー!!
ソール……君には感謝をしてもしきれない
謝罪をしてもしきれない……
子供の頃にディスナティに渡り、君と出会えたことは奇跡としか言いようがない
別れの時に離れたくないと殴り合ったこともあったな
ここで再会できたのも、私は本当に嬉しかった……。子供の頃のように一緒にいたかった
だが、俺も君もずっと子供のままではいられなかった
ソール……許さなくていい。俺は親友と国を天秤にかけても決めることができなかった。結果的に君をこんな形で突き放してしまった。最悪な形で別れてしまった
だから、恨んでいい。弱かった俺を嫌ってくれていい
けど、もし対峙したその時は――――
将軍!前方に人影が!!
なに!?
我が第一魔法源を解放せよ!魔剣・クロワ・アルシュ!!
お前は…………!!
…………
止めに来たぞ、十四郎