言葉とは裏腹に、
庭師は庭への道を開かない。
はじまっちゃう! いそごう!
ああ、わかっているとも!
やあ。ゼウスにトキヒト。早く入るといい。ゼウスの――おそらくは最後の――トイファイトは、じきに始まるから。
言葉とは裏腹に、
庭師は庭への道を開かない。
が、そこの彼には帰ってもらう。
Aghh……?
そんな……わるいこじゃありませんよ……
理由を聞こうか、面かぶり殿。
君らにもわかるだろう?
そこの彼は大人だと。子供の魂にはない汚れを持っている。どうやってここまで来たのかは知らないが、夢の庭に入れるわけにはいかない。去りたまえ。
Aghhh……!?
……でも、キティやラプラスがきたことがありますよ。
ん? ……ああ。思い出した。あの乱暴な二人の大人か。失礼、私は大人に興味がなくてね。
が、厳密なことを言えば彼らは夢の庭に入ったのではない。マーヤのトイが、あの二人を夢の庭に再現しただけのことだ。完璧にね。
そもそも。悪が為されたことがあるからといって、悪が善になるわけではないよ、オスカー。以前に善行としてなされたのでない限り、認めらるるべき例外の前例とはならない。
結構。面かぶり殿、そなたの言うところはわかった。だが。
この者は、そもそも大人か?
……子供にはない汚れを、彼は持っている。君らがその特徴をどういう名で呼ぶにしても、トイと遊ぶ者にはふさわしくない特性だ。君もそれを感じているはずだ、トキヒト。
ああ。けれど、面かぶり殿。ならば何故、彼はここまで来ることができたのだろう? 普通の大人なら、夢の中でそなたに会うことさえ叶わぬはずだ。
Aghhhh……
何より。この者は、自らを大人だと思っていないのではないか? 大人である部分に気づいていない、というか。
そうかもしれない。が、人間は、自らそのつもりがなくとも害をなしてしまうものだ。
でも、きをつけていればちがうでしょう?
ね、きみはいいこにできるよね?
Jahhhh……
なるべくいいこにするそうです。ね、いいでしょう?
……ふむ。ま、いいだろう。トキヒトの言う通り、彼は子供といえば子供でもある。
夢の庭へようこそ、砕かれた魂の君。今から君はトイファイターだ。この庭で好きなように遊ぶといい。おそらくは、今夜限りだろうがね。
おお!
庭師は道を開いたり!
Aghhh……!
ja,……dan……ke……!
ありがとう、審判さん。
感謝するよ、面かぶり殿。この者に恵みを垂れる機会をくれて、宮はうれしい。
感謝はいらない。ただ、より適切に判断したまでのことだ。こちらこそ、助言に感謝しよう、オスカーにトキヒト。
さ、急ぎたまえ。無用に時間を取らせてしまった。
月都モーントシュタット!
ヴォルフストゥルム城、
狼王の寝所!
…………Aghh…………
お兄さま、今夜は穏やかにお休みですこと……よかった……
鎮狼城より救出されしアドルフ!
然れども、
未だ気高き狼の縛鎖は解かれざるぞ!
精神干渉物質の血中濃度は
ゼロになって久しい!
にも拘わらずアドルフは目覚めない!
心は虜囚の廃皇子のまま
夢の中にぞ囚われたる!
Aghh!
……よしよし、こわかったですね。でも、大丈夫よ、アドルフ。母様はここにいますから……
……huhhh……
……よくお休みになってくださいませ、お兄さま。
マーヤの顔は疲労の色が濃い。
女王としてゲルマニアを治め、
またアドルフの世話をする重荷ゆえに。
だがマーヤが倦むことはない!
十年前に比べれば、
状況ははるかに好転しているのだから!
アドルフを冥王星に追放した者たちは
もういない。
皆、すでにマーヤが殺している。
アドルフの肉体がそばにある今、
マーヤは未来にただ歓喜だけを感じていた!
十年待ったのだ。
もう十年、あるいは百年、
いずれも問題ではない!
万年を経た化石が腐らぬように!
十年を耐えた愛は揺るがない!
…ja……da…n………ke…
……ふふ。よい夢をご覧くださいね、お兄さま……!
Fight on!
行け。
サンダーイーグル!
雷霆剛臨!
おお! おお! おお!
こは何事ぞや!?
確かにこの攻撃は常道の内!
天空神が雷霆を自在にせるは道理!
されども彼程の威力とは!?
ゆめ老残の者の技にはあるまじ!
草木よ! 人よ! 大地よ!
ただ全能の天空神に畏むべし!
うわっ!
逃げろ! ドラゴファイア!
笑止! 千万!
音声で雷撃に備えさすことの愚かさよ!
カケトよ、物理学を学ぶべし!
迅雷の速きは疾風を優に上回るぞ!
カケト、ワイが教えたこと覚えとらへんのか? しゃあないやっちゃなあ……!
ドラゴファイアは生存せり!
おお! げに天晴なる根性よ!
あれ程の雷霆の暴虐を受けて
瀕死にて耐え忍ぶとは!
天空神に抗うにふさわしき意気ぞ!
くそっ、攻め返せ、ドラゴファイア……!
わぁ。すごいいりょくだね……
が、ヨロイビートルにはリーサルギミックがある。彼なら、何かやってくれるのではないかな。勝つのは難しいだろうが。
……wunde…r……ba……r…!