だが、何故戦争は終わらないんだ?

大陸各地で人々は争っていた。戦争は終結しても、街の治安や人々の笑顔は戻らない。戻るどころか、ルディは仲間の謀反に合い討たれた。

何故―――戦争が終結すれば平和が訪れると思っていた―――これじゃ・・・もし、聖ファラール国が勝っていたら、こうはなっていなかったんじゃないのか?

そうかもしれない

突然声が聞こえた。

誰だ?

お前にこの結末を見せてる者だよ

どう言うことだ?

この結末は私も望んでいなかった―――いや、思いもしなかった。これでは戦を続けていた方が平和ではないか?そうは思わないか?

同意を求めてるのか?

そんなとこかな。
まぁ、それよりも、「あの時、ああしていれば、こうしていれば…」そんな事すら思っちゃうよね

・・・つまり、やり直せるってのか?

おっ!勘がいいね!
お前だけがやり直せる。過去を見ずに未来だけを真っ直ぐに見ていたお前だけに、その権利を与え―――託したい

俺にどうしろと?

見つけて欲しい。未来をねじ曲げた犯人を。
誰かが意図的に介入しているんだ

つまり、ソイツがいなければ、この大陸に平和が訪れるって事なのか?

そうだ

―――気づけば俺の手には一冊の本があった。

お前が見た歴史をコレに刻め

コレを使って―――俺が介入して歴史を変えろと?

頼んだぞ。記憶の無い戦士よ

俺が返答をする前に、身体が奥から張り裂けそうになり、視界が真っ白になる―――。

起きたか?

目を開けると、むさっ苦しい髭を生やしたオッサンが目の前にいた。

・・・ディガン?

お~!何だ!俺の事知ってるか~いやぁ。俺も有名になったもんだ。しかし、呼び捨ては良くねぇぞ。『さん』を付けろ『さん』を

大きな声で笑うディガンを見たら涙が出て来た。

でも、その涙を見られるわけにはいかない。俺は布団に顔を埋めて、必死で唇を噛み締め誓った―――次はディガンを死なせない。そして、俺を殺した奴も見つける!そして大陸を平和にする―――それが俺の使命―――いや、与えられたチャンスなんだ。

もしもあの時こうしていれば、あの時こうしなければ、彼奴を信じていれば、彼奴を信じなければ・・・自分の人生や運命が変わったかもしれない。
しかしそれは自分だけではなく、それに関わる人や物。全ての運命を変えると云う事。
繰り返される運命の先にある答えはなんなのか、正解はどこにもない。答えは人の数だけ存在する―――それがこの物語り。

―――序章 完。

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