人と交わることは世界が変わることだと誰かが言いました。
人と交わることは世界が変わることだと誰かが言いました。
もし……
え? はい。なんでしょう?
私はどちらへ行けばよいのでしょうか?
はい?
私はどちらへ行けばよいのでしょう?
えっと……次の講義の場所ってことですか?
爺やとはぐれてしまったのです……
爺や……
お祖父さんのことだよな?
私はどちらへ行けばよいのでしょう?
えっと、時間割って持ってます?
それなら……
ああ、日野先生の授業か。僕と同じですね。着いてきてください。案内しますよ
まぁ……
こっちです
ありがとうございます
この塾、無駄に広いから迷うんですよね。僕も最初は迷いました。今日が初めてなんですか?
ええ、まぁ……
時間割の感じだと僕と同じカリキュラムだと思うんで僕に着いてくれば大丈夫だと思いますよ
なにからなにまですみません
いいえ、困った時にはお互い様ですから。あ、僕は新田司といいます。よろしくお願いします
司というのですか。私は美吉静香と申します。以後お見知りおきを
よ、よろしくおねがいします……
随分と仰々しい言い方だな……まるでどこかのお嬢様みたいだ
あの、案内していただけるのではないのですか?
あ、ああ、すみません。それじゃあ、行きましょうか
ええ、お願いします
―――講義終了後
おっと、今日はここまでですね。今勉強したところは受験でも必ず出る場所です。ちゃんと復習しておいてくださいね
よし、それじゃあ自習室で勉強でもしようかな
―――第一自習室
お疲れ様です
あ、新田君! やっほー!
宮永さん。お疲れ様です
おっ、新田。講義終わったのか
はい。もうちょっと勉強したくてこっちに
真面目だねぇ
西野さんだってここに勉強しにきてるじゃないですか
……この間、日野っちに脅されたからよ
このままじゃどこの大学にもいけませんよ?
目だけ笑ってなかったぜ……
うわぁ……
だけど全然頭に入んねぇんだよこれが!
新田君、新田君
なんです?
さっきから気になってたんだけどその人、誰?
え?
………
あれ? あなたは……
おいおい新田! この見るからにお上品なお嬢様は誰よ!?
お初にお目にかかります。三好静香と申します
あ、これはご丁寧にどうも……西野友也っす
宮永真希だよ! よろしくね!
でもどうしてここに?
あなたに着いて行けばよいのでしょう?
あ、あー。そうか、ごめんなさい。今日はもう授業終わりなんですよ。ここはただの自習室です
自習室……ですか
そうそう! ここで分からない問題を教え合ったり、色々なことを話したりするの! 楽しいよ!
いや、本来は静かに自習する場所ですからね?
静香ちゃんも勉強していく?
そうですね、では少し……
静香様!
おや、爺やではないですか
うわっ、セバスチャンだ! 新田君、セバスチャンがいるよ!
セバスチャンって……
あれ、執事ってやつ?
爺やってお祖父さんのことじゃなかったのか……
探しましたぞお嬢様! どうしてこの様なところに! 終わったらロビーにとお話したでしょう!
そうでしたか?
ささっ、帰りますよお嬢様!
………司
はい?
司は講義が終わればここにいるのですか?
はい。よっぽどの用事がない限り講義が終わったらここで自習ですね
私もここで勉強してもいいでしょうか?
え?
もっちろんだよー! 静香ちゃんもここで一緒に勉強しようよ!
……そうですか
司。今日は大義でした
はぁ……
これからよろしくお願いします
よ、よろしくお願いします
では……行きましょうか爺や
ははっ!!
なんていうかすげえ人だったな
静香ちゃんはお姫様なのかな?
それは無い……とは言えない風格がありましたね
まぁ、これでこの自習室にも華が増えたって訳だ! よかったじゃねーの!
あの華に手を出したら確実に悲しい結果になると思いますけど
まぁ、確かに……
悲しい結果ってなーに?
……勉強しましょうか
そうだな。俺は生きて薔薇色のキャンパスライフを満喫したい
ねえ、悲しい結果ってなーに!?
ちんちくりんには分からないこと
ちんちくりんっていうなー!!
人と交わることは世界が変わることだと誰かが言いました。
本当のことだと私は思いました。
世界はこんな些細なことで変わることを実感し、これから起こるであろうこの場所の日々に私は胸を躍らせたのでした。