【52】

























(キルバス)

ここが、キルバス……


キルバスは
かぼちゃ料理が有名だと聞いた。

ハロウィンが近いこともあって
町中でカボチャカボチャしているのか
と思ったけれど、

地味……


黄色もオレンジも黒もない。
お祭り前の浮かれた様子も
感じられない。


それどころか

……

……

……

みんな暗い顔をしている。


































あのぅ


ボクは手近な店に入って
声をかけた。

なんだい?

……


前言撤回。
とってもハロウィンな人がいた。

なにかご用かな? お嬢さん

ええと、ここってカボチャ料理が有名だって聞いたんですけど、どこかで売ってますか?

カボチャ


カボチャ頭の目が妖しく光る。

そう、カボチャだよ。
ここはカボチャで有名な町なんだ

去年まではね

……

でも残念だったね。
今年はカボチャは無いよ

いや、今年、じゃないな。
未来永劫ここからカボチャは失われたのだ

だから、カボチャ料理も無い。
さあ、帰った帰った

カボチャのなくなったキルバスはもう終わりなのさ

どうして?
どうしてカボチャがないの?

……

カボチャの女神が力を失くしてしまったからね

カボチャの……女神?

ああ、でも、もしきみがカボチャを持っているなら事態は変えられるかもしれない

きみはカボチャを持っているかい?





カボチャを持っていますか?

持っている。


持っていない。

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