【5】

























ボクは金の卵を手に取った。

最悪の場合、
売り払えばかなりの額になりそうだ。







そんな時

 

わ! なに!?

取ったばかりの卵が
転がり落ちてしまったが、
それどころじゃない。


足下がぐらりと揺れ、

巣が小刻みに揺れはじめる。

地震?

























外をうかがって察した。

マグマだ。
波のように流れてくるマグマに
この巣ごと流されている。

どうしよう!

さすがファイアバードの巣
と、言ったところだろうか。

燃え尽きることなく
いかだのように流されていく。


が、


ジェットコースターのような
激しい揺れに

ボクは巣が
ひっくり返らないようにするので
精一杯だ。




神様……!!



























へ!?


祈りが通じたのだろうか。
女神が現れた。

























何処から? なんて
ツッコミはしないでほしい。

ボクだって鳥の巣の底から
女神が湧いてくるなんて信じない。

あなたが落としたのは銀の斧ですか?


女神は唐突に口を開いた。

それとも、このスペシャルゴージャスな金の斧ですか?

……とりあえず斧じゃないとだけ言っていい?


このあたりの人は
みんな他人の話を聞かないのだろうか。

それとも空気を読まないだけだろうか。

ボクが落としたのは金の、

あなたは嘘つきですね!
本当は錆びついた貧相な鉄の斧のくせに、欲深いったらありゃしないわ!!


聞いてない。
聞き耳すら持たない。

その腐った性根、叩きなおしてくれる!

わあっ!!

斧の刃が
鼻先数cmをかすめた。

私の太刀筋を見切るとは……なかなかやりますわね

しかし、次はそうはいきませんわ!

金の斧だなんて一言も言ってないのに!

なにしに来たんだ、この人は!



そうツッコむ暇すらもらえない。
女神は斧を振り回す。

だから!

待ってって!

言ってるのにー!!







Q:突然ですが質問です。
  武器屋と防具屋には寄りましたか?

寄った。



寄ってない。

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