【9】
あつい
クスクス山は火の山だった。
草も木も生えていない。
地面は赤く燃え、
ところどころに見える岩は
真っ黒に焼けただれている。
ホウキがあってよかった
こんなところとても登れない。
数歩歩いただけで足が焦げてしまう。
山からかなり離れた上空でさえ
その熱は伝わってくる。
あの人たちは、
もう焼けてるから平気なのかも
生身が来ては駄目な場所だ。
ここは。
早く卵を取って帰ろう。
上空からぐるりと見回すと
火口の近くの岩場に
巨大な鳥の巣があった。
あれか
運のいいことに親鳥はいない。
ボクは巣に降り立った。