火葬場で、タツキの体に最後のお別れをした時、もう私を見つめる優しい瞳も、低い甘い声を紡いでいた唇も、私を包んでくれた腕も、けがをしたときにおぶってもらった大きな背中も、全て全て無くなってしまうのかと思ったら、また涙が流れてきた。
その涙が先頭を切って、止まらなくなった。
火葬場で、タツキの体に最後のお別れをした時、もう私を見つめる優しい瞳も、低い甘い声を紡いでいた唇も、私を包んでくれた腕も、けがをしたときにおぶってもらった大きな背中も、全て全て無くなってしまうのかと思ったら、また涙が流れてきた。
その涙が先頭を切って、止まらなくなった。
タツキっ……!タツキ、返事してよぉ……!タツキ!!
その場に他の人がいたけれど、そんなことなんて構わなかった。
私の世界は、タツキと私、そしてあと数人の家族や友達で出来ていたのだ。その半径一メートルちょっとの私の小さな世界で、一番大きな割合を占めていたのがタツキだった。
そのタツキを本当の本当に失うことを、タツキの体が焼けて灰になってしまうことで改めて実感した私は、狂ったように火葬場で泣き叫んだ。
焼いてほしくなかった。まだ、生きているように綺麗な顔をしているんだ。私の好きな人を、灰になんてしてほしくなかった。壺に入ることのできるような物体にしてほしくなかった。だって、これで本当に会えなくなるんだ。タツキの顔を永久に見れなくなるんだ――。
そんなの、信じられなかった。受け入れられなかった。
小さな扉が開く。周りの人たちのすすり泣く声が、大きくなった。
タツキ。
数分後には、もうあなたの身体はなくなってしまう。
置いて……いかないで……
私の両親は、私を抱いていた。タツキのことをよく知っていた私のお母さんは、私と一緒になって、涙を流した。マミも、泣きじゃくる私を同じように傷ついた表情で見つめながら、私の背中をさすってくれた。アツヒコくんもユウノスケくんも、タツキを想って涙を流していた。
――タツキは、本当に愛されていたんだな。
小さな扉が、パタリ、と閉じられた。